第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演52群 能力開発・人材育成②

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM 第8会場 (中会議室E1+E2)

座長:宮之下 さとみ

[口演52-1] SBAR学習プログラム実践報告

自部署から看護部全体へと学習会を拡充する

田中 千賀 (JCHO船橋中央病院)

【背景】A病棟において201X年にSBAR(TeamSTEPPS®のコミュニケーションツールでSituation、Background、Assessment、Recommendation頭文字をとったもの)を導入した結果、看護師の自己主張性が向上し、医師と看護師の協働的な実践に効果があることが示唆された。医師と看護師の協働は患者の安心・安全な医療に不可欠なため、継続教育によるコミュケーション能力の維持・開発に努める必要がある。202X年度は対象を看護部全体へ拡げ、学習プログラムの内容を再考し開催したため、その結果をここに報告する。【目的】SBAR学習プログラムが、看護部全体の学習会としても医師とのコミュニケーションを円滑にするのに効果があったのかを明らかにする。【実践内容・方法】1.対象:A病院看護師(希望者)。2.開催期間:202X年8月~12月。全5回。毎月1回、曜日と時間(勤務時間外30分間)を固定。3.方法 1)SBAR意識付け: 名刺サイズの出席カード(裏面SBARカード)を配布。2)段階的な学習会①SBARとコミュニケーションの基礎知識②報告前の情報収集③情報を端的に伝える➃報告の目的について⑤コミュニケーションの障害となる思い込みや報告を躊躇してしまう原因について紐解き、アサーティブなコミュニケーションとしてSBARを紹介。各回で動画を作成し希望者に配信。3)SBARの知識確認と達成進度確認①学習会毎に課題を配布②学習会の前後で質問紙調査を行う(SBARで報告できているかを問う5項目から構成)4)学習プログラム評価方法:質問紙調査。5)倫理的配慮:本研究はA 病院の研究倫理審査委員会の承認を得た(承認番号 RO5-12)。対象者に研究の趣旨、協力は任意であり非参加による不利益はないこと、研究目的以外には使用しないことを説明し、調査票の回収をもって同意とした。【結果】参加者(動画視聴のみ含む)38名。評価対象:学習会に3回以上参加した21名。有効回答率66.6%。医師とのコミュニケーションについて、全く円滑でないを1、常に円滑であるを6として評価した質問では、学習会に参加前:平均3.35点、参加後:4.35点と上昇がみられた。学習会の評価:参加者全員を対象(有効回答率84.2%)。学習会満足度:6点満点で平均5.2点。学習会難易度:やや易しい40.6%、やや難しい37.5%。学習会理解度:よく理解できた25%、ほぼ理解できた68.8%であった。【考察】SBAR学習プログラムは、看護部全体の学習会としても医師とのコミュニケーションを円滑にするのに効果があった。また、満足度や難易度・理解度の結果から、自部署だけではなく看護部全体の学習会としても汎用性のある内容であった。【実戦への示唆】継続教育に向けて、参加者のニーズに合わせた学習会の内容の充実と学習方法を対面と動画視聴で選べるように学習会プログラムを改善する必要がある。将来の展望は、ノンテクニカルスキルの研修として対象を多職種へ拡げ、より良いチーム医療を目指すことである。