第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演52群 能力開発・人材育成②

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM 第8会場 (中会議室E1+E2)

座長:宮之下 さとみ

[口演52-2] 看護師間コミュニケーション能力の向上

SBARを活用して

本松 美紀, 長谷川 直人, 岡崎 美幸 (山口県済生会下関総合病院)

【背景】迅速な判断に活かす的確なコミュニケーションは医療の現場で求められている。A病棟では看護師間において伝達不足やアセスメント能力不足により的確な情報共有が行われていない現状があった。【目的】SBARの活用によりコミュニケーション力の向上に繋がるか明らかにする。【実践内容・方法】期間は202X年7月から1年間、対象はA病棟の看護師26名でリーダー経験者12名(以後A群)、リーダー未経験者14名(以後B群)。伝達状況把握のためSituation-Background-Assessment-Recommendation(以後SBAR)アンケートを作成した。S:状況、B:背景、A:判断、R:提案について10項目とし、「5点:必ず伝えている~1点:全く伝えていない」の5段階評価尺度とした。また、他者との関りや病棟の雰囲気づくりに関する項目を15項目抽出し、独自にチームワーク・コンピテンシーアンケートを作成した。「5点:そう思う~1点:そう思わない」の5段階評定尺度とし、これら2つのアンケートを実施した。その後介入として研究者がA病棟であった事例を元に4事例を作成しSBARで記入してもらった。記入してもらったSBARを1事例につきA群、B群それぞれから無作為に3つ抽出し、24例のディスカッションを計4回行った。その後介入前と同様の2つのアンケートを実施し、4回のディスカッション後の感想を自由記載してもらった。各アンケートはウィルコクソンの符号付順位和検定を用いて分析、ディスカッションの内容と自由記載の意見をまとめた。B病院看護部倫理委員会の承認を得て、個人を特定できないことを文書と口頭で説明し同意署名を得た。(承認番号 倫3)【結果】SBARアンケートは、介入後、A群は4項目(p<0.05)、B群は8項目(p<0.01,p<0.05)において有意に上昇した。チームワーク・コンピテンシーアンケートは、介入後6項目(p<0.01,p<0.05)で有意に上昇した。ディスカッションの内容は、A群の1回目では、B群に対する指導的な内容であり、4回目では必要な情報が報告出来ているという内容であった。B群の1回目では、報告に不安があるとの内容であり、4回目では報告に対する不安が軽減したという内容であった。自由記載では、A群は指示が伝えやすくなったとあり、B群は継続的な学習の必要性を感じるという意見があった。【考察】ディスカッションしたことでA群はB群への関わりや指導が明確となり、SBAR アンケートの結果、B群で介入後8項目が有意に上昇したと考える。また、チームワークコンピテンシーが介入後に上昇したのは、報告が明確になったことや、報告に対する不安が軽減したという意見があったことから、コミュニケーション力の向上に繋がったといえる。【実践への示唆】看護師間のコミュニケーション力の向上のためのトレーニングツールとして、SBARの活用は有効であった。今後も定着にむけて継続的な介入が必要である。