第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演52群 能力開発・人材育成②

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM 第8会場 (中会議室E1+E2)

座長:宮之下 さとみ

[口演52-3] 看護師におけるコミュニケーションスキルの傾向と課題

藤村 楓1, 竹内 陽子2, 前田 知恵1 (1.金沢西病院, 2.岐阜聖徳学園大学看護学部)

【緒言】看護師のコミュニケーションについて多くの研究がみられるが、看護師のコミュニケーションスキルの傾向と課題については報告数が少なく、十分な検討がされていない。それらを明らかにすることは、看護師のコミュニケーションスキル向上に繋がる可能性があるとし、本研究の意義とする。【目的】看護師のコミュニケーションスキルにおける傾向と課題を明らかにする。【方法】対象は2施設の一般病院に勤務する看護師とした。調査方法は、無記名自記式質問紙調査であり、基本属性は年齢、性別、臨床経験年数、最終学歴、夜勤の有無、雇用形態を調査した。コミュニケーションスキルの測定には、「看護師における患者とのコミュニケーションスキル測定尺度(以下:CS尺度)」を用いた。分析方法は、記述統計量算出、正規性の確認、CS尺度得点と基本属性の各変数との相関係数の確認、CS尺度得点における高群、低群の2群比較を行なった。倫理的配慮:本研究はA病院の倫理審査委員会から承認を得て実施した。(承認番号:202303番)【結果】対象の概要(n=158)として、年齢は49.0±11.3歳で、臨床経験年数は23.0±11.2年、等であった。CS尺度得点と各変数間で相関関係は認められなかった。CS尺度得点における高群と低群の2群比較では「最終学歴」において1%未満で有意差が認められた。CS尺度合計平均得点は65.2±10.0点であり、5つの下位尺度得点は、高い順に「情報収集」が3.7点、「積極的傾聴」と「パーソナルスペース・視線交差」が3.6点、「話のスムーズさ」が3.1点、「アサーション」が2.6点であった。【考察】CS尺度得点と基本属性間には相関関係はみられず、コミュニケーションスキルは年齢、性別、臨床経験年数、最終学歴、夜勤の有無、雇用形態に影響されないことが示唆された。2群間比較では「最終学歴」に有意差がみられた結果から、教育課程によってコミュニケーションスキルに差があることが示唆された。下位尺度の「話のスムーズさ」「アサーション」が低得点であったが、新人看護師を対象とした高橋らの報告と類似し、本研究の結果を支持するものとなった。看護師のコミュニケーションスキルにおいて、話をスムーズに進めることや、自分も相手も大切にした自己表現法が課題であると示唆された。「情報収集」では、新人看護師に比べて看護師の得点が高く、経験によって磨かれる技術であることが示唆された。【結論】看護師のコミュニケーションスキルは、最終学歴の違いによって差があると明らかになった。また看護師は「情報収集」が高得点であるが、「話のスムーズさ」「アサーション」において低得点であり、看護師のコミュニケーションにおける課題であることが示唆された。本研究は2施設での結果であり、今後対象者を広げて調査していくことが必要である。