第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演52群 能力開発・人材育成②

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM 第8会場 (中会議室E1+E2)

座長:宮之下 さとみ

[口演52-4] 中堅看護師研修の対象者の検討

教育ニード・学習ニードの結果から

長島 のぞみ, 前田 幸恵, 小川 多賀子 (たちばな台病院)

【背景】A病院は、202X年度よりクリニカルラダーを導入した。参加率は59%で全看護師の教育支援には至っていない。中小規模病院の看護の質を維持・向上させるためには、中堅看護師が活き活きと仕事に取り組め、充実した心理状態(ワーク・エンゲイジメント)を得ることができる支援が急務であり、中小規模病院の中堅看護師育成に役立つと考える。 【目的】A病院で働く看護師の教育ニード・学習ニードの測定結果から、中堅看護師研修の対象者を明確にする。【実践内容・方法】アンケート調査:教育ニードアセスメントツール―臨床看護師用―(以下EN)と学習ニードアセスメントツール―臨床看護師用―(以下LN)期間:202X年10月1日~202X年10月31日対象:A病院の看護部に所属する看護師71名倫理的配慮:無記名で行い、回答したことで研修への同意とみなし、A病院倫理委員会の承諾を得た。(承認番号倫-2023-02)【結果】回収率66%。EN得点平均86.5(SD17.1)点と中得点領域(70.0-97.0)にあった。A病院経験年数別6~10年では、EN下位尺度Ⅵ〈看護職・病院・病棟全体の発展を考慮し、その機能の維持・向上に努める〉が15.8点と高く、教育の必要性があった。LN得点平均133(SD20.9)点と中得点領域(130-158)であった。年代別では30代が126点、A病院経験年数別6~10年未満が127点で学習への意欲が低かった。A病院経験年数0~3年未満は148.4点、3~5年未満は132点で、どちらも中得点領域であった。0~3年未満の中得点領域以下に割合が、16.6%であったのに対し、3~5年未満は62.5%を占めていた。【考察】A病院看護師のENは、中得点領域であり看護専門職者として望ましい状態にあった。しかし、A病院経験年数別6~10年未満では、EN下位尺度Ⅵにおいて、看護専門職として望ましい状態と乖離している。その為、組織の人材育成、職場の士気向上、組織活動への参加など看護職・看護の発展に尽力できる状態に近づくための教育が必要であり、中堅看護師研修の対象ではないと判断した。A病院看護師のLNはA病院経験年数別0~3年未満では学習への意欲は保たれている状態であるが、それ以降は著しく低下することが分かった。しかし、中小規模病院、再就職看護師、学習意欲低下、自ら学ぶ意欲、というキーワードで文献を検索したが、転職後3年以上でLNが低下する今回の結果と同様の先行研究結果はなかった。中堅看護師を臨床経験年数5年目以上に設定している施設が多いが、A病院はLNが保たれている「A病院経験年数」に焦点を当て、中堅看護師研修の対象者を「臨床経験年数3年以上、A病院経験年数1年以上」とした。【実践への示唆】中堅看護師研修の対象者を明確にすることができた。今回、A病院経験年数3年目以降でLNが低下する事が明らかになった。A病院経験3年目以上でもLNを保つことができるような研修計画を検討する。