第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

Presentation information

口演

口演53群 せん妄への対応②

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM 第9会場 (中会議室D1+D2)

座長:吉岡 睦世

[口演53-5] リアリティーオリエンテーションの実践

自作カレンダーの活用方法を共有して

鈴木 千晶, 井上 翔伍, 福田 純子 (高砂市民病院)

【背景】A病院は、「面倒見のよい病院」をスローガンに高齢者にやさしい病院を目指し、医療に携わっている。入院患者のうち、75歳以上の患者が7割、そのうち4割以上の患者が認知症高齢者の日常生活自立度判定がⅢ以上である。202X年コロナ禍の面会制限で入院高齢患者の認知機能低下を認めた。認知機能低下防止を目的に見当識障害を補うケアとしてリアリティーオリエンテーション(以下ROと略す)を取り入れている。認知症ケアチーム(以下DCTと略す)が自作カレンダーを作成しROを実施している。日付や時間を単調に伝えるだけでなく、各部署がカレンダーを活用し、どんなRO環境作りを実践しているのか効果が上がる方法を院内で共有し、患者個人のケアに生かすことを目的に取り組んだ。【目的】カレンダーの活用方法を院内全体で共有し、患者に合わせたROが実践できる。【実践内容・方法】期間は202X年9月から1月。対象は、病棟看護師84名。9月にカレンダーを使用する際の「自部署の工夫」とカレンダーを貼る「対象者」「貼る場所」「声かけ」の3項目についてどのような実践状況にあるのか、独自に作成した質問用紙を用い記述で回答してもらった。質問用紙の結果より12月に各部署の活用状況をポスター(以下RO通信と略す)にまとめ、院内に発信した。1月にRO通信で発信した各部署の活用状況について「参考になった」項目を選び、選んだ理由を記載してもらった。本研究は院内の倫理委員会の承諾を得、対象者には、質問用紙への回答は任意であり、結果は本発表以外では使用しないこと、データー処理は匿名化することを書面と口頭で説明し同意を得た(承認番号 高病倫第2023-2号)。【結果】質問用紙の回答は84名(100%)、他部署の活用状況が参考になったと答えた看護師は81名(96%)であった。項目別では「カレンダーを貼る対象者が理解出来た68名(81%)」「貼る場所の工夫が理解出来た66名(78%)」「声かけの工夫が理解出来た75名(89%)」であった。自由記載から「イベントや時間を伝えて今を伝えるように意識するようになった」「家で見慣れた、使い慣れたカレンダーを持参するように声をかけたい」との意見があった。【考察】カレンダーの活用方法を共有することで、具体的にROの実践方法を理解することができた。自部署の環境や対象に応じたROの方法を考えるきっかけにもなった。緊急入院で入院された高齢者の多くは環境の変化に適応できず、混乱することが多い。その人に合わせたROを実施し、その人が過ごしやすい環境作りが大切であることを理解することができたと考える。【実践への示唆】ケア実践を共有することで、効果的な個別ケアに活かすことができる。