第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演54群 業務改善に向けた取り組み③

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM 第10会場 (中会議室C1+C2)

座長:久保 祐子

[口演54-1] ケースカンファレンス定着に向けた取り組み

~記録用紙の改訂と看護師の意識変化~

荻野 理恵, 小野 ひな子, 益子 佑唯, 内田 陽子, 青柳 歌織 (埼玉県立精神医療センター)

【緒言】A病棟では入院の長期化を防ぐために、入院1か月後にケースカンファレンス(以下、CCとする)の実施を取り決めているが、202X年の実施件数は半数以下であった。その要因としてカンファレンス記録用紙(以下、記録用紙とする)が使いにくい、離席が多くCCに集中できない、情報共有で終了し実施に対する満足度が低い等が考えられた。先行研究ではCCの定着について、経験年数による情報収集能力・問題点に気づく能力の差を少なくできるように取り組む必要があり、記録用紙の変更に留まらず、多角的な取り組みが必要であると示唆されている。今回、記録用紙の改訂や環境調整を行い、CCを充実させることで実施の満足度向上や1か月CCに対する看護師の意識変化に繋がり、CC定着へのきっかけになると考えた。【目的】A病棟の1か月CCに対する思いや課題を抽出し、記録用紙を改訂することで看護師の意識にどのような変化が生じるかをアクションリサーチを用いて明らかにし、CC定着へのきっかけとする。【方法】研究対象者はA病棟に勤務する看護師16名。実施期間は202X年6月~9月。アクションリサーチを用いてCCを4回実施した。データはCCに対する課題を①内容、②記録用紙、③実施環境を評価、看護師の意識変化を①内容、②アクション前後でのアンケート結果、③CCに対する満足度の変化の視点で分析した。B病院倫理審査委員会の承認(受付番号4-5)を得て実施した。【結果】研究開始前アンケートでは記録用紙が使いにくい、CCに集中できない等の意見があった。意見を基に記録用紙のひな型変更や具体的項目(病棟生活状況、退院後の支援、本人/家族の思い、今後の介入等)を追加、改訂しCCを実施した。実施後の意見を基にその都度、項目(入院前との比較、通院先等)を追加した。改訂記録用紙を使用し円滑な進行となったことで、具体的な方針や介入方法が検討できた。また、環境を個室で少人数に調整した結果、離席がなくなり集中できたことや、話しやすい雰囲気だったと感じるようになった。これらのことがCCに対する満足度の向上に繋がった。研究実施後のアンケートでは、CCに対する満足度が10段階中、4.7から7.1に上昇した。【考察】退院支援に必要な項目を追加し改訂記録用紙を使用したことで、経験年数に関わらず情報整理が行え、論点が明確になった。円滑な進行で多職種との意見交換が活発となりCCの内容が充実し満足度が向上したと考える。また、個室で少人数の環境調整はCCへの障害が減り集中して話すことができ、話しやすい雰囲気となったことで満足度の向上に繋がったと考える。【結論】記録用紙の改訂は退院に向けた論点が明確となり、集中できる環境調整によりCCの充実や実施に対する満足度の向上に繋がった。満足度の向上は実施の動機づけとなり、CC定着のきっかけになると示唆される。ただし、本研究は一部署のみの実施であるため、一般化するには限界がある。