第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

Presentation information

口演

口演54群 業務改善に向けた取り組み③

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM 第10会場 (中会議室C1+C2)

座長:久保 祐子

[口演54-5] 患者満足度調査から視えるA病棟の課題と改善活動の検討

永吉 シゲ子, 田尻 ケイ, 河野 真弓, 永田 由香里, 山口 真侑, 横田 香織, 甲斐 由美 (高野病院)

【目的】患者満足度の高い医療・看護を提供するためには患者評価を知り、改善していくことが必要である。A病棟看護師の看護サービスを患者がどう受け止めているか把握し、A病棟における看護ケアの課題と今後の改善活動の課題を明らかにする。【方法】20XX年の7ヶ月の期間にA病棟に入院した患者を対象に、日本看護質評価改善機構の「看護QIシステム」6つの領域(1.患者への接近、2.内なる力を強める、3.家族の絆を強める、4.直接ケア、5.場をつくる、6.インシデントを防ぐ)を参考に無記名のアンケート調査を実施。質問別に集計し、上記6つの領域別に分析した。本研究参加者には、研究目的、方法、参加は自由意思で拒否による不利益はないこと、及び個人情報の保護について、文書と口頭で説明を行い、書面にて同意を得た。A病院倫理審査委員会の承認を得て倫理に配慮し行った。(承認番号23-32)【結果】対象は214名。男性157名(73%)、女性57名(27%)。平均年齢55.8歳。概ね90%以上の高い評価が得られた。その中で評価が低いものは次の項目である。1つ目は、3.家族の絆を強める(満足度62%と64%)で、3割以上が無回答であり「短期間の入院で面会の機会がなかった」「子供の制限とかコロナ禍などで面会をしなかった」などの意見があった。2つ目は、4.直接ケア(満足度80%)で、「術後、夜間、痛みに耐えきれずどう対応すればよいか(薬の飲み方を早めるか)尋ねたら、どうして欲しいのかと患者に判断を委ねられた。思考力も低下しているので看護師に判断して欲しかった」「背中を拭いてくれる人とただ置いていく人がいた」などの意見があった。【考察】質問1~13を「看護QIシステム」6つの領域に分類した結果から、3.家族の絆を強めるについて、「面会がなかった」「面会しなかった」との意見が多かった理由としてコロナ禍が影響していたと考えられる。徐々に面会の制限が緩和されつつあるが、看護師が介入し家族に患者の思いや様子を伝え、また家族の反応を患者にフィールドバックすることで双方の思いが相手に伝わり安心して入院生活を送れたと考える。また、4.直接ケアについては、概ね良い評価が得られたが、苦痛を訴える患者に対する気持ちの共有や声のかけ方などの配慮が不足していたと考える。【結論】今回の結果から、患者の思いに寄り添った声かけや配慮が不足していること、説明の仕方・アプローチの方法・コミュニケーションの取り方に個人差があること、家族との関わりが不十分であることが明らかになった。今後の改善活動の課題は、毎日の関わりで患者の価値観を共有し思いに寄り添うこと、患者と家族のニーズを効果的に引き出すためのコミュニケーションスキルを磨くこと、患者が納得できる説明の仕方・アプローチの方法を学ぶことであり、知識や実践力を高めるためにカンファレンスやリフレクションを繰り返し、その効果を患者に還元できるよう取り組んでいきたい。