[口演55-1] 手術前説明動画化による業務量の軽減
~説明の標準化と働き方改革を目指して~
【背景】A病院の整形外科外来では、医師による手術説明が行われた後、医師の業務量軽減を目的として、手術日までの説明や記載が必要な書類の説明を看護師が行っている。医師による手術説明は、血液データ、レントゲン所見、心電図、心エコー等の手術に必要なデータが出てから行われるため、夕方になることが多い。そして、医師の説明後に看護師が追加説明を行うため時間外労働も発生し、外来看護師の業務負担となっている。また、手術前説明のマニュアルは無く、説明を行う看護師に一任しているが、入退院支援センターや患者からの問い合わせにより、スタッフ個々の説明に差異があることが判明した。【目的】手術前説明を動画化し、業務量の軽減と標準化を目指す。【実践内容・方法】1、動画作成を実施。手術までの受診場所の説明、書類のサインや記載が必要な箇所の説明、薬剤師からの説明、入院前の準備、入院当日の事を中心に作成を行った。2、手術前説明動画を使用した説明と、使用しない説明を1週間毎に行い、患者アンケート調査を実施(手術までの受診場所、サインや記載の必要な書類にチェックしてもらい、不正解割合を算出)3、参加職員へアンケート調査の実施。倫理的配慮、本研究は、A病院の倫理審査委員会で承認を得て実施し、対象の患者には看護研究にデータを使うこと、個人が特定されないことを説明し同意を得た。また対象の看護師には同意を得た看護師のみ研究に参加してもらう。【結果】動画使用19件、受診場所不正解率45%、記載に必要な書類不正解率26%、説明平均時間488秒。〔内8件ポリメラーゼ連鎖反応検査(以降PCR検査と表記)について追加説明実施]動画未使用20件、受診場所不正解率44%、記載に必要な書類不正解率33%、説明平均時間452秒。職員アンケートでは自由記載で、動画の改善点、動画に追加するべき内容や動画を見てもらうスペースの確保が必要などの意見を聞くことができた。【考察】COVID-19(新型コロナウイルス)患者の急増に伴い、動画使用の研究途中にPCR検査の説明が追加され、説明時間が大幅に増えてしまった事で、時間的な差異は明確化できなかった。患者理解の面では、動画使用の方が受診場所不正解率、記載に必要な書類不正解率ともに低く、標準化の効果が一定数あったと考えられる。また、職員アンケートから動画の改善点が多く聞かれ、動画の質向上の余地があると考える。【実践への示唆】今回の研究では、時間的差異は明確化出来なかったが、本調査を通じて動画内容の改善点が明らかとなり、今後の改善に有用な資料となった。今後も動画の改善に取り組み、改善後の動画を使用して職員の業務量軽減や説明の標準化を目指していきたい。