第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演55群 周術期の看護②

Sun. Sep 29, 2024 1:30 PM - 2:30 PM 第6会場 (大会議室A4)

座長:塚原 大輔

[口演55-2] 病棟・外来との連携による手術前からの予防的スキンケアの検証

患者・スタッフの認識統一と保湿による皮膚トラブル軽減を目指す

高橋 美風有, 森田 幸子, 真浦 菜緒美, 高上 乃愛, 小手川 麻衣, 石崎 満美, 池澤 裕子, 鈴木 理恵, 塚越 美典 (帝京大学ちば総合医療センター)

Ⅰ.緒言 前年度の研究結果より、手術前に予防的スキンケア(以下ケアと記載する)が行えていない事が判明した。ケアとは脆弱な皮膚を理解し低下した生理機能を補うケアで健康な皮膚を維持し褥瘡、感染を防ぐことが出来るとされている。手術前のケアの有効性を明らかにし病棟・外来スタッフとケアに対する認識を統一し皮膚トラブルの軽減を図る。 Ⅱ.目的1.患者にケアを実施してもらい有効性を明らかにする 2.病棟・外来スタッフとケアの認識を統一する Ⅲ.方法 1.対象 整形外科脊椎手術を受ける患者15名2.期間 202X年6月~ 3.データの収集方法 1)入院支援時に水分チェッカーで前胸部の水分量を計測する。2)ケアの必要性について指導し自宅で実施。3)入院後に水分チェッカーで前胸部を計測しケアの有効性を検証する。 4.倫理的配慮 本研究は看護部倫理審査会の承認を受けて実施する。用紙を用いて説明し、署名による同意を得た。本研究で得られたデータは個人が特定できる形で公表しない。 Ⅴ.結果 ケアは継続的に行い外来・病棟看護師の協力も必要である。各部署の看護師へ基礎的なケアの勉強会を行い、パンフレットを用いて指導内容の統一を図った。皮膚保護対策は同一とし、前胸部・腸骨部・膝部に被膜剤塗布後、フィルム材を貼付、術後、病棟で剥がすよう依頼した。手術平均時間は3時間29分、70代が多くケア実施平均は6日であった。実施0日が2名1~6日が7名7日~13日は6名14日以上が1名であった。ケア前後の水分量油分量を計測し実施日数に分け平均値を算出した。術後に腹臥位から仰臥位へ体位変換した際に8名の発赤を認めたが4名は退室時に消失し3名は翌日消失、1名は皮膚トラブルを認めた。皮膚トラブルを認めなかった8名のうち新たに2名の皮膚トラブルが発覚した。ケアを14日以上行った患者に皮膚トラブルはなかった。 Ⅵ.考察 脊椎手術では4点フレームを使用した体位固定や長時間手術、手術操作に伴うずれ・摩擦による皮膚トラブルの発生リスクがある。皮膚トラブルや褥瘡は早期からケアが重要である。ケアを行っていない患者の水分量は2%減少、油分量は1%上昇した。ケアを行った患者は水分量が増加し概ね油分量が減少した。結果よりケアを行っていない場合、角質層の水分量が低下し皮脂が過剰に分泌され、長期間ケアを行うと角質層の水分量が増加し過剰な皮脂分泌が抑制されたといえる。他患者も術直後に発赤は認めたが退室時に消失したことからケアは有効であった。術直後に皮膚トラブルはなかったが帰室後新たに3件皮膚トラブルが発生した。被覆材が適切に貼付剥離を行えていない可能性や4点フレームに接触していた可能性が考えられるため対策を検討する必要がある。 Ⅶ.結論 今後は脊椎手術だけではなく他の手術でもケアが行えるよう多職種に協力を得ていきたい。