第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演56群 がんとともに生きる人と家族への支援

Sun. Sep 29, 2024 1:30 PM - 2:30 PM 第7会場 (中会議室B1+B2+B3)

座長:菅原 真由美

[口演56-1] 化学療法誘発性末梢神経障害の実態と対処

―日常生活への影響―

山本 真耶, 山片 文乃, 石倉 かおり (旭川医科大学病院)

【緒言】化学療法誘発性末梢神経障害は、日常生活、患者のQOLあるいは治療継続に影響するとされている。症状は、薬剤を投与する限り累積的に増悪するとされているが発症時期や症状の進行に関する先行研究はない。【目的】パクリタキセル・カルボプラチン療法を受ける患者の末梢神経障害の症状発現時期、日常生活に及ぼす影響を明らかにする。【方法】1.対象者:B病院C病棟でパクリタキセル・カルボプラチン療法を2回以上受けている患者。2.調査期間:202X年X月~10か月間。3.研究方法:無記名自記式アンケート調査。症状、日常生活における支障、対処は4段階スケール、項目にないことについては自由記載とした。4.分析方法:基本属性は単純集計、4段階スケールの項目は治療回数ごとで集計し、自由記載はカテゴリー化した。5.倫理的配慮:情報の管理と匿名化、学術集会にて発表することを書面で説明し、同意書にて同意を得た。B病院の研究倫理審査委員会の承認を得た(承認番号22111) 【結果】57名から回答が得られ(回収率76%)、治療回数は、2回目:23%、3回目:19%、4回目:19%、5回目:16%、6回目:16%、7回以上:7%であった。自覚している手指の症状は、感覚鈍麻:74%(2回目:46%、3回目:90%)、痺れ:89%(2回目:76%、3回目:100%)であり、寒冷刺激によって症状が強くなる:59%であった。足指の症状は、感覚鈍麻:75%(2回目:45%、3回目:81%)、痺れ:87%(2回目:61%、3回目:90%)であった。症状の自由記載は<関節痛><親指・人差し指の痺れ><針で刺すような痛み>の3つに分類された。日常生活における支障は、書字:62%、早く歩く:55%、転びそうで怖い:49%、包丁を使う:47%、睡眠:45%、家事:45%、錠剤を取り出す:43%、車の運転が怖い:43%等であった。対処は、家事等でぬるま湯を使用する:91%、手袋・靴下等を装着する:87%、転ばないように注意する:85%、冷たいものを触らない:66%、手足のマッサージをする:64%、袋を切るときははさみを使う:64%等であり、内服治療での対処は治療2回目時点で7%、3回目時点で63%であった。【考察】本調査において、化学療法誘発性末梢神経障害は、治療2回目では半数程度、3回目で手足ともにほぼ8~9割の方が自覚し、感覚鈍麻より痺れが先行していた。対処としても治療3回目には半数以上の方が内服していることから、2~3回目前後に症状が強まる可能性が示唆された。日常生活への影響に関しては、支障を感じているのは半数程度であり、もともとのADLが影響し個人差が大きいと考えられた。症状マネジメントに関しては、冷えを回避する行動が多くみられ、予防的な対処がされていると考える。【結論】患者教育の場面では、副作用の説明だけではなく症状の出現時期を伝えるとともに、患者個々の普段の日常生活を捉え、患者に及ぼす影響をともに考え、対処方法を一緒に考えることが安心して治療に臨むことへつながると考える。