[口演57-1] 回復期病棟における騒音とは
看護師と患者の騒音の認識の違いについて
緒言先行研究では回復期病棟看護師は外部から発生する音を騒音と捉え、自身から発生する音は騒音と捉えていない傾向としている。回復期看護師への調査研究はあるが、患者への研究はない。WHO環境騒音ガイドラインでは、夜間発生する騒音を平均値35dB以下、最大値を40dBに留めるべきとしているが回復期病棟では平均値65.3dBであり超えている意義本研究では先行研究で論じられている、看護師の傾向と患者で、騒音認識の差異を分析する事で医療現場における日常生活場面での騒音ストレスに対する教育、対策を講じる手立てとなり、より生活リズムの環境構築にする事ができるのではないかと考える目的回復期病棟入院患者の属性により騒音に対する感受性の違い、患者と看護師における騒音の感受性の差異を明らかにする対象者A病棟入院患者(調査日時点で入院期間1週間以上、研究概要に理解・同意を得られる患者。高度の難聴・認知機能低下患者は除外期間202X年5月~202X年8月、9時~1X時 方法先行研究より騒音項目を29項目抽出。騒音を録音、騒音計で数値化。録音した音を患者に聴いてもらい騒音と感じるか自由記述欄も設け調査分析方法患者属性で分類。Mann–Whitney U検定(2群間)もしくはKruskal-Wallis検定(3群以上)を実施。騒音の各項目に対して看護師群と患者群でχ2検定を行い差異を分析。有意水準P<0.05倫理的配慮倫理委員会へ研究内容を届けて承認を得た属性年齢、性別、疾患、麻痺側、TMT、MMSE、精神症状、向精神薬の有無結果N=58。患者属性別で検定。いずれの属性においても有意差なし。dBの大きさと騒音と感じた人数の間に相関なし。 患者と看護師間での騒音の感じ方について、看護師の方が有意に騒音と感じる音が15種類あった。患者の方が騒音に感じる音が9種類あったが有意差はなし考察騒音の捉え方には患者の音への解釈や感受性が影響したと考える。患者は日中よりも夜間の方が騒音を感じやすい。 看護師よりも患者が騒音と捉えにくい傾向の理由として、リハビリテーションや看護ケアにおける病棟の発生音を患者は日常生活音として受容していることが考えられる。患者が比較的騒音と感じたものは生理的に不快と感じやすい音だが、看護師はそれらを患者から得る情報として認識しており、捉え方の差が現れたと考える結論本研究では、患者の属性において、騒音を感じやすくなる有意差は見られなかった。dBが大きい音が必ずしも騒音として認識されるわけではない。 日中においては看護師より患者の方が騒音と感じにくい傾向だが、夜間においては騒音の感受性が高くなる。 患者はリハビリテーションや看護ケアにおける発生音は日常生活音として捉え受容しているという事が示唆された。今後の展望として結果を用いた騒音対策、介入研究を実施し、より良い音の環境調整、生活リズム構築に繋げていく