第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演57群 療養環境の整備

Sun. Sep 29, 2024 1:30 PM - 2:30 PM 第8会場 (中会議室E1+E2)

座長:岩部 仁

[口演57-2] HCUにおけるテクニカルアラーム低減への取り組み

野尻 裕子, 小笠 希, 淺野 夏海, 佐藤 里紗 (順天堂大学医学部附属順天堂医院)

【背景】クリティカルケア病棟において、患者の状態を把握できる生体情報モニターアラームは非常に重要な情報であるが、センサーの取り付け不良等に起因するテクニカルアラームが多く含まれる。テクニカルアラームが常態化した環境では、重要なバイタルアラームの見落としによる医療事故が発生するリスクがあるため、管理体制の整備が重要である。そこで202W年X月のデータからアラームレポートを作成し、A病棟の問題点を抽出した。その結果、問題点は心電図モニター関連と、SpO2関連のテクニカルアラームが多い点であり、テクニカルアラームが39.8%を占める結果であった。【目的】 A病棟のモニターアラームを分析した結果、心電図モニター管理方法に問題があるのではないかと仮設が浮かび上がった。今回、心電図モニター等の管理方法見直しと評価により、アラームを低減させるための管理方法を明らかにすることを目的とした。【実践内容・方法】 はじめに、生体情報モニタメーカーとSpO2プローブメーカーによる勉強会を実施し、心電図モニター電極およびSpO2プローブの交換頻度や固定方法などの管理の見直しを行った。さらに、正しく管理できているか不定期に調査を行った。同年Y月、Z月に再度データを収集してアラームレポートを作成し、比較分析を行った。 倫理的配慮として、データを取り扱う際は患者個人が特定できないようにし、データは研究目的のみに使用した。【結果】 モニターの交換実施状況に関し、不定期に調査した結果は89%であった。実施できなかった理由は、「交換する時間が不明瞭」「清潔ケア時に交換することを失念した」という内容であった。また、テクニカルアラーム発生件数は患者1人あたり、X月は18.0件/日であったが、Y月は15.4件/日、Z月は15.0件/日と減少した。そのうち心電図モニターのテクニカルアラームは、X月は11.8件/日であったが、Y月は9.6件/日、Z月は7.8件/日に減少した。SpO2プローブのテクニカルアラームは、X月は6.2件/日であり、Y月は5.8件 /日へ減少したが、Z月は7.2件/日と増加した。【考察】 管理方法の見直しにより、テクニカルアラーム全体の発生件数は減少した。特に、心電図モニター電極の毎日の交換を主とした管理方法の見直しは、心電図モニターのテクニカルアラームの発生件数の減少につながったと考えられる。しかしSpO2のテクニカルアラームはY月は減少したもののZ月は増加している。モニターの交換時間の周知が不十分であったり、新たなモニターの配置場所など管理方法が不十分であり、改善の余地があると考えられる。【実践への示唆】 心電図モニター電極やSpO2プローブの適正管理がテクニカルアラームを低減させる可能性がある。テクニカルアラームを減少させることはアラームの見落としによる医療事故発生の予防につながるため、アラーム機能が適正に使用できる管理体制の整備を継続的に行う必要がある。