第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演59群 能力開発・人材育成③

Sun. Sep 29, 2024 1:30 PM - 2:30 PM 第10会場 (中会議室C1+C2)

座長:堤 令子

[口演59-1] ICTを活用した研究支援システム導入の成果

COVID19による影響を乗り越えた事例

松下 徹1, 深沢 久美子1, 中山 栄純2 (1.海老名総合病院, 2.北里大学看護学部)

【緒言】COVID19の流行で、三密の概念に基づく対面研修の制限、頻繁な看護師の部署異動により、教育活動は特に甚大な影響を受けた。当院では2019年度より看護研究研修に外部講師を導入し、研修の準備状態・結果を記録し、講師と双方向のコミュニケーションを行えるICT(以下、情報通信技術)を用いた研究支援システム(以下、システム)を導入した。今回、システムの活用状況や有効性の評価をCovid19のアウトブレイク前から開始した研修(20XX年度~20XX年度 以下:前期研修)とCovid19アウトブレイク中の研修(20XX年度~20XX年度 以下:後期研修)で比較し、システムの有効性を評価した。尚、外部講師による研修内容は全て同様である。【目的】コロナ禍で研究支援にシステムがどの程度寄与したかを明確にする。【方法】1.研究対象:20XX~20XX年度の看護研究研修における一般スタッフの研究グループ(以下、G⦅前期研修5G、後期研修12G⦆)、2.研究期間:20XX年4月~20XX年3月、3.調査項目:①システム利用状況(ログイン回数、資料のアップロード回数、振り返り記録回数)、②支援後の理解度などに対する自己評価(自己の準備状況、研修の理解度、研修の満足度、研修後の有用感、研修後の達成度)、4.分析方法:3の①は研修期間の合計数、②は研修2か月ごとの11回の平均点で算出し、研修開始時期ごとに比較検討した。【倫理的配慮】A病院倫理委員会の承認を得た(承認番号:XXX倫第474号)。研究参加者にはオプトアウトで研究目的と研究内容を掲示、各自の研究データを使用しない権利を保障した。【結果】前期研修の平均ログイン数6.3±7.1回、アップロード回数2.3±0.8回、振り返り記録回数1.5±0.0回に対し、後期研修では平均ログイン数6.7±8.7回、アップロード回数3.9±3.7回、振り返り記録回数3.7±2.2回であった。支援後の自己評価(100点満点)は、前期研修で準備40.6±16.1点、理解64.6±9.2点、満足度76.6±14.6点、有用感75.9±13.7点、到達度3.0±5.3点に対し、後期研修で準備77.0±15.0点、理解79.6±45.8点、満足度81.4±13.9点、有用感84.8±16.3点、到達度74.4±32.9点であった。【考察】システムは各自の意思で自由に使用するようにしたため、前期では殆ど利用されなかったが、後期は最初から遠隔指導にせざるを得ず、利用回数は激増した。また、利用回数増加に伴い、約6割だった前期研修の自己評価の得点が、後期研修は8割に増加した。これは各自が研修前後で主体的にシステムを活用して取り組んだことが影響していると考える。したがって、対面研修が制限された場合でも、このようなシステムを活用することで研修の効果を上げる可能性が示唆された。 【結論】ICTの利活用は、対面研修が制限される中での代替手段として、研究支援に有用である。今回の研究の限界は、質的部分の評価はできていないため、実際の研修の成果物と合わせて評価していく必要がある。