第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演59群 能力開発・人材育成③

Sun. Sep 29, 2024 1:30 PM - 2:30 PM 第10会場 (中会議室C1+C2)

座長:堤 令子

[口演59-2] 研修転移を促進する仕組みの構築

フィジカルアセスメント研修評価(第2報)

外間 太樹, 伊佐 雅子, 宮平 正則, 加治工 若菜, 川末 留美子, 比嘉 美幸, 赤嶺 須賀子, 真名井 千賀子, 又吉 努, 木下 さやか, 饒平名 かおり (琉球大学病院)

【背景】 A病院教育委員会では、臨床判断能力の向上を目的にフィジカルアセスメント研修を提供している。2022年度にフィジカルアセスメント研修の呼吸領域に限定したルーブリック評価表を作成し、研修転移評価を行った。評価の結果、研修転移が進んでおらず転移のための仕掛けや環境づくりが課題となっていた。【目的】 スタッフの臨床判断能力向上を目指し、研修転移を促進する仕組みを構築する。研修前後での指導者の関わりを見直し、フィジカルアセスメントの実践力向上に焦点をあてた研修転移の促進を目指す。【実践内容・方法】1.研修転移の理論についての共通認識と仕組み図の共有、2.研修前の外的動機付けと受講者自身の内的動機付けの促進、3.教育委員による研修の企画・運営、4.研修終了後の実践機会の早期提供とコーチング、5.ルーブリック評価表を用いた転移評価(研修受講前と受講後1~2か月の期間に実施) ルーブリック評価表は、「問診」、「フィジカルイグザム」11項目、「アセスメント」2項目、「必要な看護援助」の計15項目からなり、それぞれ1点(知らない)、2点(知識はある)、3点(実践が出来る)、4点(記録ができる)の4段階評価となっている。 倫理的配慮として、ルーブリック評価対象者に個人が特定されないこと、学術集会等で発表することを紙面と口頭で説明した。本取り組みはA病院倫理審査委員会の審査対象外であったため、倫理審査委員会に代わる所属長の承認を得た。ルーブリック評価を実施した43名のうち、包括的同意が得られた42名を分析対象とした。【結果】 研修前後のルーブリック評価では、15項目の全てで平均得点が上昇した。また、項目全体のスコア1点(知らない)、2点(知識はある)の割合は研修前38%から研修後20%へ減少し、スコア3点(実践が出来る)、4点(記録ができる)の項目の割合は研修前62%から研修後80%へ増加し、研修転移が促進された。さらに、研修前中後での指導者の具体的な関りを図示した研修転移の仕組みを構築した。【考察】 研修前の関わりでは、研修の目的や意義の説明等の外的動機づけと共に、内的動機づけとなるような関りも意識して取り入れていた。これは、研修受講者が課題や目的意識をもって研修に臨めるような「仕掛け」になったと考える。研修後は、学んだ内容を早期から実践し反復することが重要とされる。研修に参加した教育委員が実践の繋ぎとしての役割を果たし、研修終了後早期から実践機会の提供、コーチングを行った事で研修転移に繋がったと考える。 研修前の動機付けや研修後のフォローアップに至る一連のプロセスが、研修の成果を現場での実践に繋げる重要な要素であることが示唆された。【実践への示唆】 今回は、特定の研修に限定されたものであったが、今後は他の研修においても研修転移の視点を持った取り組みが求められる。また部署や看護部全体を巻き込んだ継続的な関わりも必要と考える。