[口演6-1] より安全に腎生検を受けていただくための取り組み
腎生検クリニカルパスの改訂
【緒言】A病院では、腎生検予定の患者に対し、外来時より腎生検クリニカルパスを使用し患者に説明を行っている。入院後に検査に対して詳細な説明希望や入院中の安静など、療養生活に対する不安の声が聞かれる事があった。検査後の安静・安全が守れない事による合併症の恐れがあるため、安全に腎生検を受けられるようにするためのパスの改訂を図ったのでここに報告する。【目的】患者が腎生検を受ける際に不安や苦痛を最小限にし、安全に検査が行えるような援助ができる。【方法】腎生検を受けた患者17名に独自で作成したアンケート用紙を作成。B病棟宛て返信用封筒配布。質問内容として「外来で腎生検についての説明は詳しくあったか」「検査までの流れを看護師に尋ねたか」「尋ねた理由は何か」「どのような内容で不安になったか」などを含む9項目と自由記載。B病棟看護師24名に「腎生検介助経験の有無」「患者からの質問内容」「検査後危険行動をされた経験」などを含む16項目と自由記載とした。量的研究・単純集計倫理的配慮:A病院の倫理委員会の承諾を得た(承認番号:5田病院901-6号)研究対象者には「文章」で自由意志である事、研究の主旨を説明し個人が特定されないよう匿名化である事、同意が無くても不利益にならない事、アンケートの回答をもって同意が得られた事とした。【結果】アンケート回収率100%。患者年齢平均59歳。「外来で腎生検についての説明は詳しくあったか」あった64.7%。「検査までの流れを看護師に尋ねたか」尋ねた64.7%。「尋ねた理由は何か」説明をされていたが忘れた90.9%。自由記載では「外来でもらった説明文書を何度も読み直した」「もっとわかりやすい資料があれば良い」。看護師平均年齢33歳。クリニカルラダー1(37.5%)ラダー2(8.3%)ラダー3(37.5%)。腎生検介助経験が少ない看護師が83%。患者から検査についての質問を受けた46.1%。危険な行動をされた66.7%。自由記載では「検査直後の安静度が守られていなかった」と記載あり。【考察】医療者が詳細な説明を行っても、患者には理解が得にくく、看護師に尋ねる行為に繋がった事、もっとわかりやすい資料があれば良いとの意見からも説明文書が患者にとって充実した内容ではなかった事が考えられた。看護師調査でも経験や知識、技術の習得には差がある事で検査への説明の仕方に差異が生じ、看護に統一性がない状態となっていた。そのため患者には正確な情報を理解してもらえず安静が守れない事で合併症を引き起こすような危険な行動に繋がっていたと考える。これらの事が患者の不安を増大させ安全が守られていなかった要因であると考えた。【結論】使用していた患者用クリニカルパスのままでは検査への理解が得られず危険な行動に繋がる現状があった。患者の理解度に合わせた説明の統一化で不安のない安全な医療を提供していく必要があった。