[口演7-1] 分娩介助実習を通した助産師学生の職業的アイデンティティの変化
~リフレクション面接の内容分析から~
【緒言】 助産師教育における職業的アイデンティ形成は重要とされながらも,その教育方法は十分に検討されていない。本研究者らは助産師学生に,分娩介助の経験数に応じてリフレクションを促す面接(以下,リフレクション面接とする)を行い,「助産師の職業的アイデンティティ尺度」を用い<自己の助産師観の確立>など, 3 因子の上昇を明らかにした。そこでリフレクション面接が助産師のアイデンティティの形成を促進する可能性があると考えた。【目的】 リフレクション面接を通して学生の職業的アイデンティティが分娩介助の経験に応じてどのように変化したかを明らかにすることである。【方法】 A 大学助産師養成課程の学生 11 名を対象に,実習中間と実習終了後にリフレクション面接を行った。面接は,個別に 30 分程度とし, ICレコーダーに録音した。リフレクション面接は,理想とする助産師像に向けた自己の課題を言語化できるようにした。録音内容から逐語録を作成し「職業的アイデンティティの変化」に注目しコード化し,サブカテゴリー化を行いコアカテゴリーの抽出を行った。本研究への参加は自由意志であり,研究参加の有無が成績に影響しないこと等,同意を得て実施した。 本研究は,A大学生命倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号 30-12 号)。【結果】助産師学生の語りからみた職業的アイデンティティの変化 対象者の平均年齢は 22(21-26)歳である。1回目の面接で140コード, 21サブカテゴリーから7コアカテゴリー<助産師として必要とされる喜び><未熟な知識・技術に対する自信のなさ><未熟であっても支えたい><経験を重ねることで感じる手応え><助産ケア実践への意欲の高まり><振り返りによる自己課題の明確化><助産師像の芽生え>を抽出した。2回目の面接で128コード,15サブカテゴリーから6コアカテゴリー<未熟なケア実践に対する心残りと不安><ケア実践ができた自信と充実感><助産師の専門性に対する魅力><理想とする助産師観の再確認><助産師としての向上心><漠然としている助産師像>を抽出した。【考察】 中間面接では,助産師として必要とされる喜びから助産ケア実践への意欲が高まり,経験により助産ケアの手応えを実感し,肯定的な感情から助産師像が芽生えた可能性がある。最終的に,助産師の専門性に対する魅力,理想とする助産師観の再確認,助産師としての向上心へと変化した。この背景には,Gibbs のリフレクティブ・サイクルモデルを理論基盤とした発問ガイドによる教員との面接が影響を与えた可能性も考えられる。【結論】 分娩介助経験の中間リフレクション面接では,<助産師として必要とされる喜び>から<助産ケア実践への意欲の高まり>を感じ<助産師像の芽生え>が生じていた。分娩介助経験終了時の面接では<助産師の専門性に対する魅力><理想とする助産師観の再確認><助産師としての向上心>へと変化した。