[口演7-2] 社会人看護学生のキャリア志向の現状
【背景】准看護師が看護師となるために看護師養成所2年課程通信制への進学があり、A学院はこれに該当し、実務経験を7年以上有する要件の准看護師が仕事と学習を両立させている。A学院では看護の統合と実践分野においてキャリアマネジメントについての理解を学習目標のひとつとしており、社会人学生のキャリア志向の実態を把握することとした。【目的】A学院における社会人学生のキャリア志向の現状を把握する。【方法】A学院2年次の看護の統合と実践の受講者160人に看護師のキャリア開発・継続教育を教授し、就労可能年数から考えた主観的キャリア年齢の位置づけを考えてもらい、H.シャインのキャリア指向質問票を用いた8つのカテゴリー調査(以下カテゴリー)を行った。さらに過去・現在・未来の私について自記式質問紙調査を実施した。このうちの未就業者を除外した153人を対象とした。【倫理的配慮】授業開始前に文書および口頭で参加協力を依頼した。その際、匿名化し厳重に管理すること、個別に説明に応じること、同意しなくても成績への影響や不利益が生じないこと、学外への研究報告に使用することを説明し了承を得た。なお本研究はA学院倫理審査(承認番号:令5看169)にて承認を受けた。【結果】平均年齢44.2±7.5歳、准看護師資格取得平均年齢26.8±7.7歳、准看護師実務経験平均年数15.3±7.5年であった。主観的キャリア年齢を前半に位置付けた者は99人(64.7%)であり、その理由として看護師資格を取得しこれからが29人と最も多かった。後半に位置付けた者では、定年から逆算して考えた21人、自身の健康問題6人などがあがった。また、カテゴリーは生活様式83人(54.2%)、保障・安定28人(18.3%)と、この2種類で全体の7割を超えた。次いで、奉仕・社会貢献14人(9.2%)、専門・職能別能力11人(7.2%)であった。さらに、看護師になってやってみたいことへの選択複数回答可では、研修参加・継続学習76人(49.7%)、現在と異なる看護業務58人(37.9%)、認定看護師教育課程受講31人(20.3%)が上位を占めていた。しかし自由記載欄に現状維持、考えていない、退職・休職、ほかの事を探すとあげた者が19人(12.5%)いた。【考察】40代が主要な学生層となっている要因に、准看護師資格取得7年後ともなると、様々なライフイベントと重なり進学を延期せざるを得ない背景が推察される。40代になれば自身の経験から生活観を確立している者が多く、それ故、キャリアを決定する際に特に重要となる自己概念であるカテゴリーでは生活様式や保障・安定が多くなったのではないかと考える。【実践への示唆】社会人学生は仕事と学習の両立のみでなく、様々な背景や家庭での役割を担いながら生活しており、そこに価値を見出していることが示唆された。しかし看護師は専門職であり、資格取得がゴールではなく生涯学習の必要性があること、自身のキャリアについて考える機会を提供することが重要であると考える。