第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

講演情報

口演

口演8群 看護管理者等の実践・能力①

2024年9月27日(金) 14:15 〜 15:15 第8会場 (中会議室E1+E2)

座長:松田 琴美

[口演8-4] 勤務帯リーダー指導者が感じた困難

指導者に必要な支援

小野 栄作, 小笠原 史, 石川 祐子, 安藤 貴子 (麻生総合病院)

【緒言】勤務帯リーダー指導者は、勤務帯リーダーの自律を支援する重要な役割がある。指導者は指導に困難を感じていたが、その要因は明らかでなかった。先行研究で勤務帯リーダー指導者の困難感に焦点をあてた研究は少なかった。よって、本研究では指導者が感じた困難の要因を明らかにすることで指導者に必要な支援と今後の教育体制の構築に意義があると考えた。【目的】指導者が感じた困難の要因と必要な支援を明らかにする。【方法】研究方法:半構造化面接を用いた質的研究分析方法:データは逐語録としてデータ化、意味内容の類似性に基づきカテゴリを抽出した。倫理的配慮:研究の趣旨、目的、意義、方法、匿名性の保持、参加の自由、不参加による不利益がない事を書面で説明。A病院の研究倫理審査委員会の承認を得た。(承認番号A-23-005)【結果】1.インタビューの結果82のコードから「指導者の役割」「指導に必要な要素」「指導者の困難感」「指導者に必要な支援」の4つのカテゴリに分類された。2.困難を感じた対象は5名全員で、内容はマニュアルの説明や具現化、系統的な指導、フィードバックの方法、個別性の把握、自身の役割についての不安等であった。3.支援が必要と回答した対象者も5名全員で、内容は経験値の共有の場、具体的指導や承認、指導者の教育であった。【考察】1.先行研究では、勤務帯リーダー導入には役割理解や定義づけ、実践内容のイメージ不足から不安やストレスを強く感じている事が示唆されている。A病院では指導者に対する教育体制や動機づけがないため、先行研究同様にイメージ不足に起因する4つのカテゴリに分類されたと推測する。2.先行研究では、勤務帯リーダーに対し陰性感情やプレッシャーを感じている事が示唆されている。指導者は更に、勤務帯リーダーの行動を評価し判断、指導することが求められるが、評価視点や判断基準、指導方法について教育を受けておらず、5名全員が困難を感じていたと考える。3.勤務帯リーダー育成に関する先行研究では、事前学習の必要性、具体的な行動の指導、段階に応じたプログラムの工夫の必要性が示唆されている。指導者は自己の指導状況の不安や勤務帯リーダーの成長段階把握困難等の特性があった。そのため、年間計画や到達目標、評価表等を作成し系統的な教育体制の構築と時期や習得状況を鑑みOJT・OFFJTを連動させ段階的に指導していく事が必要と考える。【結論】1.指導者の感じた困難の要因は、人を育てる経験値の低さ、自己効力感の低さ、動機づけやマニュアル・指導方法の説明不足などイメージ不足によることが示唆された。2.指導者に必要な支援は、系統的な指導であることが示唆された。3.本研究結果は対象者5名と少ない為、一般化するには限界がある。今後の課題は、勤務帯リーダー指導者の系統的な研修と指導者育成を支援する部署内の仕組みつくりが必要と考える。