第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演9群 臨地実習

Fri. Sep 27, 2024 2:15 PM - 3:15 PM 第9会場 (中会議室D1+D2)

座長:原田 英美

[口演9-1] 臨地実習を乗り越えるために必要な支援のあり方に関する研究

実習の乗り越え方と、学生が教員に求める支援は何か

川堺 美香 (愛知県立総合看護専門学校)

【緒言】看護学生は、臨地実習で様々なストレスを受けていると報告されている。しかし実習経過とともに学生の困難やストレスに変化はあるのか、それらをどう乗り越えているか、また教員に対し時期によって求める支援の違いはあるかは明らかにされていない。【目的】臨地実習で異なる時期に学生が抱く困難やストレスを特定し、乗り越える為に自身でどのような努力や工夫をしているか、また教員に求めている支援を明らかにする事で教育支援の見直しを目的とした。【方法】A看護専門学校3年生110名を対象とし、領域別実習開始半年(1回目)と全実習終了時(2回目)の2時点で実施。依頼文は学校長用と学生用を作成し、学年の教員に説明書を添え配布を依頼した。自記式質問紙の内容は、個人属性と学生自身の努力や工夫、前向きに頑張れた言葉や助言、教員に求める支援と二次元レジリエンス要因尺度の質問を一緒にしたもので、時期的変化を知るために2回の時期に同じ自記式質問紙を用いた。1回目と2回目の回答に対し、それぞれ自由記述はカテゴリー分類した。また、二次元レジリエンス要因尺度も採点後2回の時点で「実習を乗り越える事ができた」で層化し、得点の時間的変化を比較した。【倫理的配慮】個人が特定されないよう無記名で紐付け記号を使用し、学術集会で発表することを書面で説明した。A倫理審査委員会(承認番号2022-20)【結果】回収率は1回目77.3%、2回目77.1%であった。2回とも「記録」に困難やストレスを感じていた。また、「実習を乗り越える事ができた」「達成感を得る事ができた」「成長を感じた」は、2回とも85%以上であった。二次元レジリエンス要因尺度は、2回とも回答した73人のt検定で資質的要因のみ統計的有意は見られず実習後の得点がやや高くなり、獲得的要因は得点も変化はみられなかった。自由記述をカテゴリー分類し、実習を乗り越えるための自身の工夫において2回とも「実習記録作成に対する工夫」「欲求を満たすための工夫」「困ったときは他者を頼る工夫」「ストレスに対する工夫」が共通していた。2回目のみ追加されたカテゴリーは「看護実践が上達するための工夫」であった。教員に求める支援のカテゴリーは、2回とも「高圧的にならない指導や助言」「肯定的な指導や助言」「実践的な指導や助言」「共感的理解に基づく指導や助言」が共通していた。【考察】1回目は「記録」に対し教員の支援を求めていた。2回目は学習だけでなく、看護実践の上達を意識しており卒業までに技術の成長に思いが強くなっていったと考えられる。2回とも共通する支援は、支援時の姿勢に対するものであり学生を承認することが重要であると考えられる。【結論】学生は乗り越える努力や工夫をしていたが、実習場で教員からの支援のあり方として、学生の現状に共感し頑張りを認め、できていることを褒める指導方法が効果的であると示唆された。