第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

Presentation information

口演

口演9群 臨地実習

Fri. Sep 27, 2024 2:15 PM - 3:15 PM 第9会場 (中会議室D1+D2)

座長:原田 英美

[口演9-2] 看護学生の手術室看護への理解を深める取り組み

実習前オリエンテーションの工夫と手術室看護師観察表の活用

内田 佳月 (順天堂大学医学部附属静岡病院)

Ⅰ.背景 A病院の手術室では成人看護学の周術期実習で大学3年次の学生を受け入れている。学生は、担当する患者の手術に立ち会うことで麻酔や手術が生体に及ぼす影響を理解し、術後の看護に活かすことが求められている。しかし、昨年度までの実習レポートから学習内容を分析すると「手術室の安全管理」や「手術室看護師の卓越したスキル」についての学びは多いが、術後看護に活かすための侵襲の理解や合併症予防の工夫などに関する気付きは不十分だと感じていた。手術室看護師も、慌ただしい中、学生の対応をしているため学生がひとりでいる時間が長く、十分に説明できていないこともしばしば見受けられた。そこで今年度手術室実習を見直し、学生が手術室看護をより深く学び、周術期実習で必要な患者理解が深まるような工夫をしたところ、学生の実習レポートやカンファレンスでの内容に学びの変化が見られたため報告する。Ⅱ.目的 実習前オリエンテーションの工夫と手術室看護師観察表の活用による手術室実習での実習効果を検討する。 Ⅲ.実践内容・方法 周術期実習の初日に手術室の実習指導者が学生にオリエンテーションを行う。このオリエンテーションは動画による手術室看護の紹介と、手術台に寝て手術体位を取るなどの体験型の2部構成である。また、「手術室看護師の観察表」を配布し、当日その用紙をもとに手術室看護師の行動を見学できるようにした。実習終了後に提出されるレポートやカンファレンスの内容から学生の学びを評価する。対象者の個人が特定されないよう配慮し、使用したレポートやカンファレンスの議事録は症例報告以外では使用しない。Ⅳ.結果 レポートやカンファレンスの内容に、手術体位を見て術後の観察点が理解できた、創の大きさだけでは計りきれない手術侵襲を知ることで疼痛管理の重要性を認識したなど、術後管理に必要な看護の気づきがあった。学生からも予め動画で学んでおくことで手術室の看護が理解しやすかった、看護師の観察表があったことで手術室の看護師が忙しい時でも、用紙を見れば何をしているかわかり看護を見逃さずに済んだなどの意見が聞かれた。Ⅴ.考察 学生はデジタルネイティブ世代であることから、手術室実習のオリエンテーションを動画に変更し、さらに、手術台に寝て手術体位を体験するなどの時間を設け、患者の苦痛や侵襲が想像できるように働きかけたことで手術室看護の理解が深まったのではないかと考える。また、前年度までは学生がひとりでいる時間に学びを促す働きかけができていなかったが、専門性が高い手術室において学生が自ら観察する場面を見つけることは困難であると考え、今年度は学生が主体的に学べるツールを用いたことで、学んでほしい内容と実際の学びが一致したのではないかと考える。Ⅵ.実践への示唆 学生の世代背景や特徴に合わせた実習内容にすることで、学びを促進し理解を深めることに繋がる。