[口演9-3] 学生から見たA病院看護師の実習指導評価
実習指導が学生の就職選択に与える影響
【緒言】 A病院はB看護学校の実習を受け入れているが、B看護学校より就職する学生が少なく感じており、看護師の実習指導方法が気がかりであった。看護師の学生への対応や指導によって得られた病院への好印象が就職先を選択する際の1つの要因であると報告がある。今回、看護学生が就職先を選択するうえで重要な要因とA病院の実習指導が就職選択に与える影響を明らかにする。【目的】1.就職選択する要因を明らかにする。2.実習指導が就職選択に与える影響と看護師の指導評価を明らかにする。【方法】1.期間:W年X月1日~Y年Z月31日2.対象 :W年度3年生37名、Y年度3年生46名3.調査項目:1)就職選択する際の要因。2)A病院は就職したい病院か否かとその理由。3)指導評価はJapanese Effective Clinical Teaching Behaviors(以下ECTBと記載)で調査。4.分析方法:「就職選択する際の要因」「就職したい病院か否か」「就職したい群」「就職したくない群」「迷う群」は単純集計、「就職したい群/したくない群」間のECTB平均値の差の検定は、対応のないt検定を用いた。5.倫理的配慮:調査用紙は無記名、調査用紙の回収をもって研究への参加同意とする。この研究はA病院の研究倫理審査委員会の承認を得た。【結果】 就職選択する要因は、福利厚生や給料の処遇面と、人間関係が上位であった。A病院へ就職したい理由では「処遇面」「実習で学びが多くあった」「学生への対応がよかった」であった。ECTBでは、就職したい群の方が就職したくない群より高い評価を得た。ECTB平均値合計点数1位は「学生のグループカンファレンスや計画の発表に、適切に助言しているか」であり、最下位は「学生が気軽に質問できるような雰囲気を作っているか」であった。【考察】 学生が就職選択をする要因の中で、処遇面の次に人間関係が上位を占めた。人間関係を築くことが苦手な傾向が先行研究でも示されており、人間関係の良好さを望んだと考えられる。また、看護は人間関係を重視すべき職業という積極的な意図と、他者から受容されないことに対して強い不安を抱く消極的な意図の両面が考えられると述べられており、若者の特徴が表れた結果となった。次に、就職選択に与える影響では看護師からの学びが多かったこと、対応や指導によって得られた病院への好印象が一要因となっていると考える。そして指導の評価では、実習に対する助言では高評価を得たが、緊張の緩和という部分では低い評価を得た。学生は緊張状態で実習をしており、精神的部分での関わりが不十分なことが示唆される。学生に関心を向け、学生の主体性を引き出すような関わりが重要である。【結論】1.就職選択として、処遇面の充実と人間関係の良さなどを重視して選択する傾向にある。2. 実習中に得られた看護師や病院への好印象が就職選択の一要因となる。また、学生は関心を向けてもらい、気配りのある介入を求めている。