第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

講演情報

ポスター

ポスター10群 看護補助者との協働

2024年9月27日(金) 14:15 〜 15:15 ポスター会場 (展示ホール)

座長:佐田 明子

[ポスター10-1] タスクシフト時の支援体制構築における課題

看護補助者との協働を推進するために

渡邉 亘顕, 柴田 暁子, 大野 みのり, 田辺 里江 (市立敦賀病院)

【背景】A病院では看護業務の効率化を図るために、看護補助者(以下補助者)へのタスクシフトが検討されてきた。その中で、予約入院患者の来院時間と看護業務のピーク時間が重なることで業務が煩雑化していることがわかったため、入院案内業務のタスクシフトに取り組んだ。タスクシフトにより補助者が抱く不安を明らかにすることで、今後の協働推進にむけた課題が明確になるのではないかと考えた。【目的】アンケート調査からタスクシフト前後における補助者の不安を明らかにし、支援体制構築の示唆を得ることを目的とした。【実践内容・方法】病棟に配属されている補助者を対象に、タスクシフトの必要性と入院案内業務についての説明会を実施。各病棟で入院案内業務のタスクシフトが可能かを検討し、一部病棟で実施した。タスクシフト前後の補助者の思いを知るためにアンケート調査を実施。アンケートの回答は任意とし、回答をもって同意とした。本報告は、A病院看護部倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】アンケート回収率は100%。タスクシフトは8病棟中4病棟で実施された。入院案内業務を経験した補助者は23名、平均勤務年数は5.9年±3.1年であった。タスクシフト前後の不安については、「不安があったがなくなった」52.1%、「タスクシフト前後とも不安がある」39.1%、「タスクシフト前後とも不安はない」8.7%であった。タスクシフト前は「業務量増加」や「看護師との連携」に関する不安が見られた。タスクシフト後に不安が軽減した理由としては「経験」や「看護師からの支援」が挙げられ、タスクシフト後も不安が残る理由として「情報の不正確さ」や「業務過多」「判断が困難な場面」が挙げられた。アンケート結果では、病棟による意見の偏りはみられなかった。【考察】現在、5割以上の補助者が不安なく入院案内業務を行っている。新しい業務を担う事への不安があっても、実際に経験を積むことや看護師が適切に支援できれば、不安を軽減することができる。一方で、4割近い補助者は不安を抱きながら入院案内業務を行っている。これは患者情報の共有が不十分なときや補助者業務がひっ迫しているときに生じる傾向にあった。患者情報に関しては、補助者が求める情報を把握し、適切に共有することで改善が可能である。補助者業務がひっ迫している場面や判断を要する場面にでは看護師の支援が必要となる。タスクシフトしたことで取り組みを終えるのではなく、互いの業務が効率的に行えるように支援を継続することが必要であると考える。【実践への示唆】補助者との協働はA病院の課題であり、タスクシフトに取り組めたことは大きな前進であった。補助者が不安を感じたときに支援を求めやすい風土作り、適切に支援できる看護師を育成し、継続して補助者業務を支援できる体制構築を目指したい。