[ポスター10-3] 看護補助者の職務や処遇に関する満足度調査
【はじめに】看護を取り巻く環境は、入院患者の高齢化やタスクシフト・シェア等により、高度化、複雑化が進み、安全で質の高い看護実践と役割の拡大が求められ、看護師と看護補助者の協働や役割分担による効率的な業務が必要とされている。日本看護協会は「看護チームにおける看護師・准看護師及び看護補助者の業務のあり方に関するガイドライン及び活用ガイド」(2021年改訂)を公表し、2022年度診療報酬改定では看護補助者の更なる活用に係る評価が新設された。A病院では201X年より看護補助者を増員し、業務拡大と教育体制整備を進めた。雇用数は201Y年4月31名となったが、202Z年4月には21名に減少し定着が大きな課題となった。これを受け、看護補助者の定着率向上を検討するために、看護補助者の職務満足度等の調査を実施した。 【研究目的】看護補助者の職務や処遇等に関する満足度等を調査し、結果を看護補助者の定着に繋がる対策検討に役立てることである。【研究方法】202Z年9月時点でA病院に勤務する看護補助者23名を対象に、202Z年9月19日から3週間、職務内容・職場環境・人間関係(各8項目)、給与(6項目)、その他(13項目)の45項目を4件法で構成する匿名留置式アンケートで実施した。研究目的意義および方法、回答の任意性、データの保存・管理・公表の予定を説明する文書を配布し、協力に同意の場合のみ回答を依頼した。本研究は、A病院倫理委員会の承認を得て実施した。 【結果】21名から回答を得た(回収率91.3%)。満足度が特に低かったのは「給与」であり「職場の給与だけで暮らせる」「仕事成果と給与は釣り合いが取れている」など6項目とも11名(52.0%)以上が思わないと回答した。また「この職場で働き続けたいと思わない」5名(23.8%)、「もっと良い条件の職場があれば転職したい」9名(42.9%)、「十分な人員を確保してほしい」21名(100.0%)、「今より時間があれば患者に対してもっと良いケアが提供できる」19名(90.5%)、「安心・安全に入院するために看護補助者は必要と思う」は(100%)であった。 【考察】人間関係や仕事の魅力、やりがいを感じるなど職務に関する満足度は高く評価された。一方人員不足への不満や処遇に関する満足度が低く離職の要因と考えられる。看護補助者の確保や定着には、意見や要望が言える職場環境、一定業務を行う時短勤務など柔軟な労働環境改善、組織的な人材確保対策、処遇改善を検討することが重要である。 【結論】① 人員不足や給料(処遇)に関する満足度が低い。② 42.9%が条件により転職や離職を視野に入れている。③ 患者の安心・安全な入院のためには、看護補助者の役割や貢献は必要と考えている。