第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター11群 回復期リハビリテーション

Fri. Sep 27, 2024 2:15 PM - 3:15 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:谷川 智子

[ポスター11-5] リハビリテーション病棟における退院時の不安の傾向

伊藤 千明1, 櫻井 恵真1, 大石 朋子2 (1.榛原総合病院, 2.湘南鎌倉医療大学)

【緒言】A病院回復期リハビリテーション病棟(以下A病棟)では定期的なカンファレンスを行い退院に向けての支援を行っている。しかし、患者の中には自宅に帰ることができる喜びはあるが退院に対しての不安を口にすることもある。先行研究から退院時に感じる不安の要因と退院後の日常生活において困ると予想される内容は共通している。そのため退院時の不安に対して介入することで退院後の生活支援になるのではないかと考え、A病棟での退院時の患者が持つ不安の傾向ついて調査した。【目的】A病院A病棟に入院している患者が退院時に感じている不安の内容と影響要因を明らかにし、退院支援に繋げることを目的とした。【方法】対象はA病院A病棟から退院する患者でアンケートの回答に同意した42名。対象者に退院時にSTAI(状態―特性不安検査)と文献を参考に作成した質問項目(体調管理、介護サービス、セルフケア、ADL、転倒のリスク、対人関係、睡眠、社会復帰)に対する不安の程度等についてアンケート調査を行った。不安の程度は1点(不安はない)~4点(とても不安)とした。また、記述統計した後に、退院時の運動FIMを「運動FIM低値群」と「運動FIM高値群」で2群間比較を行った。項目間の相関はSpearmanの順位相関係数で比較し、2群間比較では、Mann-WhitneyのU 検定、カテゴリ変数ではFisherの正確確率検定を用いた。有意水準5%未満を統計学的に有意差ありと判定した。本研究はA病院看護研究倫理審査委員会の承諾を得て実施した。(承認番号2023-4)【結果】アンケートの結果、退院後の生活で不安が強い傾向にある項目は転倒リスクであり、21名(50.0%)が「やや不安」、13名(31.0%)が「不安」、5名(11.9%)が「とても不安」を選択していた。次いでADLの項目でも19名(45.2%)が「やや不安」、9名(21.4%)が「不安」を選択していた。2群間比較の結果、アンケートのADLや転倒リスクの項目において、運動FIM低値群が高値群と比較して有意に高い結果となった。【考察】A病棟から退院される患者の退院時の不安は主にはADLと転倒リスクに対してであった。このことから、退院時不安の軽減をしていけるように、入院中から転倒予防や、ADL向上に対して積極的に介入が必要と考える。また先行研究では退院1カ月後に運動FIMが低下すると言われており、退院後は転倒リスクが高まると考えられる。そのため入院中から運動FIM得点を向上させることや、スタッフ間で情報共有し、自宅をイメージした生活動作と、その転倒リスクを把握して関わっていくことが必要であり、多職種がよりいっそう専門性を活かしチーム医療を行う必要がある。【結論】A病棟の患者の退院時運動FIMは他院での運動FIMと比べて点数に差はなかった。A病棟では退院後の生活において転倒リスクやADLに関する不安が強く、退院時FIMの結果と関連していることが明らかとなった。