[ポスター11-4] 回復期リハビリテーション病棟における看護
中堅看護師の重症患者への看護の特徴
【緒言】2022年の診療報酬改定により回復期リハビリテーション病棟(以下、回リハ病棟)の入院料基準における重症患者割合が4割以上となった。A病棟では、回リハ病棟経験の浅い看護師が重症患者を入院から退院まで受け持つ機会が増え、看護について様々な悩みを抱えていた。先行研究では、急性期における重症患者への看護には高い看護実践能力が必要であり、その能力を中堅看護師が有しているとされている。しかし、回リハ病棟の中堅看護師による重症患者への看護に関する研究は見当たらなかった。このため、回リハ病棟の中堅看護師の重症患者への看護の特徴を明らかにしたいと考えた。【目的】中堅看護師による重症患者への看護の特徴を明らかにする。【方法】A病棟に入院し、退院時FIM利得50点以上の重症患者3名の看護実践に携わっていた回リハ病棟経験3年目以上の看護師9名を対象とした。症例ごとに中堅看護師を3グループに分け、フォーカスグループインタビューを実施した。インタビュー内容を記録媒体に録音し、逐語録を作成した。逐語録の内容から「重症患者への看護の特徴」の部分を抽出しコード化した。コード化した内容を類似性に沿って集約し、〔〕カテゴリー、()サブカテゴリーにまとめた。【倫理的配慮】B病院の研究倫理審査委員会の承認を得た。対象者には個人が特定されないよう匿名化することと情報の管理について、また、学術集会で症例報告として発表することを書面で説明し、同意書をもって同意を得た。【結果】分析の結果、192のコード、21のサブカテゴリーと、〔リハビリテーションを受けるための心身の健康状態を整える〕〔入院時から退院後の生活を見据えて支援する〕〔家族もチームの一員として巻き込む〕〔患者の主体性を尊重する〕の4つのカテゴリーが抽出された。【考察】中堅看護師は、重症患者の抱える多岐にわたる課題に対し、多職種と自身の専門性を理解した上で、その力を最大限に生かし患者の改善・解決に向けて連携していたことが示された。また、患者の身体機能だけではなく主体性の回復も促進し、入院時から退院後の生活の再構築を踏まえた看護を行っていた。患者の心理状況を的確にアセスメントし、やりたいという思いや行動をあえて待つことで、できる能力を引き出していたと考える。更に、それぞれの家族がもつ強みを最大限に発揮できるよう、家族を早期からチームの一員として巻き込んでいた。これが患者のエンパワメントの向上に繋がり、退院後もその人らしく生活できるような基盤づくりを行っていたと考える。【結論】回リハ病棟の中堅看護師による重症患者への看護の特徴として、4つのカテゴリーが明らかとなった。入院時から退院後の生活の再構築に向けて、家族を含めたチームの力を最大限発揮する役割を担っていることが示された。