[ポスター19-1] HCU病棟看護師が行う意思決定支援の現状
【緒言】急変した患者は、本人の意思を確認できないことが多く、A病院HCU病棟看護師(以下看護師)は「急変後の意思決定では遅いのではないか、患者は自分の思いに沿った意思決定ができているのか」と感じることがあった。そこで本研究は、看護師が行う意思決定支援の現状を明らかにする。【目的】HCU病棟看護師が行う意思決定支援の現状を調査する。【方法】意思決定支援に関するアンケートとインタビューガイドを用いた半構成的インタビューを行い、内容を録音・逐語録を作成、コード・カテゴリー化を行い分析した。【倫理的配慮】A病院の倫理審査委員会の承認を得て実施した。【結果】逐語録から227のコードが得られ、コードを38のサブカテゴリーから10のカテゴリーに分類し、6つのコアカテゴリー「集中治療での意思決定支援の特徴」「A病院HCU病棟での意思決定支援の特徴」「患者・家族の意思」「意思決定支援での看護実践」「意思決定支援での考え」「意思決定支援での思い・感情」が抽出された。【考察】集中治療の特徴に加え、A病院HCU病棟(以下HCU)は、医療者主体の意思決定支援を行っている特徴があった。中山は、医療者も気がつかないうちにある選択肢に誘導している可能性もあると述べており、医療者主体のパターナリズムから、シェアードディシジョンメイキングへ変えていくことが求められる。看護師は、事前に意思を確認する必要があるという考えを持っていたが、患者の意思が変化するのではないかと感じており、患者・家族の意思の変化に合った意思決定支援の必要性が明らかとなった。これは事前に意思を確認することは重要であるが、患者・家族の意思の変化に合わせて、何度も繰り返し意思決定支援を行っていく必要性を示唆する。家族の希望をもとに患者への説明が行われずに、患者が望まない治療が継続される場合があり、患者の意思が取り残されないように、看護師は患者・家族の架け橋となるような役割を担う必要がある。本研究で看護師は、コミュニケーション技術を用いながら、架け橋の役割を担っていた。看護師は、患者・家族・医師との関わりの中で、割り切れない思いを抱いていることが多かったが、カンファレンスで情報共有を行い、他職種と連携しチームでの看護を行っていた。個人的な葛藤で終わるのではなく、チームでの看護を今後も継続することで、看護師の葛藤や戸惑いの軽減につながると考える。岡崎は、看護師は倫理的感性を磨き、積極的に倫理的課題を把握し、チームの中でお互いが意見交換し解決を図るように努める必要があると述べており、組織として解決していくことの重要性を示唆する。【結論】看護師は、患者家族の意思を中心に意思決定支援を行っていた。患者・家族・医療者の考え方の違いがある中で、戸惑いや割り切れない思いを抱きながら、看護師個人やチームで看護実践を繰り返し行なっていた。