[ポスター2-1] 外来看護師の私語に対する意識と行動
私語30秒ルールを適用して
【背景】A整形外科病院の外来は1日平均患者数約260名、看護師の平均年齢45.1歳の21名で構成され、多職種と連携を図り業務にあたっている。日々の業務中に看護師が雑談(以下、私語とする)をしているのではという疑問の声が聞かれる。円滑な診療環境の維持を目指す上で、個々の看護師の私語に対する意識と行動に着目した。【目的】「私語は30秒以内が妥当である」と教育学者の齋藤孝氏が述べていた事をヒントに「私語30秒ルール」(以下ルールとする)を独自に設け、ルール前後の看護師の私語に対する意識や行動を明らかにする。【実践内容・方法】外来看護師18名にルールを1ヶ月間適用後、自記式質問紙調査を行った。ルールとは1)一度の私語を30秒に収める 2)内容を考え、適切な場所、時、声量で話す 3)ルールを逸脱した看護師に手を振り注意し合う事とした。私語に関する質問をルール前10項目、ルール後5項目に分けて「はい、いいえ」で回答を得、理由は自由記載とした。「はい、いいえ」は単純集計し、理由と合わせて整理した。倫理的配慮としてA病院倫理審査委員会の承認を得た。(承認番号104)【結果】ルール前は「私語で失敗経験あり」が9名(50%)で「声量」「不適切な場所」「患者に話が聞こえる状況」「他者から注意を受けた」の順で多かった。「他者を気にして私語を中断した」は12名(67%)で内訳は「患者・家族」「上司」「自部署の看護師」の順で多く、理由は「業務中の雑談だから」「患者や家族に不快感を与えるから」「注意をされたから」であった。「他の看護師の私語を注意していなかった」は8名(44%)で理由は「注意する事へ抵抗感がある」「自分も私語をするから」「自分が業務中で余裕がない」と回答した。ルール後は「私語の長さや場所、時、声量を意識するようになった」と13名(72%)が回答し「手を振って注意する動作は抵抗・不快感があり有効ではない」と9名(50%)が回答した。【考察】ルール後より「私語を短めに、時や場所、声量に気をつけるようにした」と答えた人が多く、自らの意識や行動を振り返る機会になったと考える。注意出来ないのは、手を振って注意する動作への抵抗感や、人間関係の悪化を懸念した為ではないかと考える。その為、注意というよりはお互いが不快感を生じないような伝え方を工夫することが必要と考える。ピョートルフェリクスグジバチ氏は、雑談のメリットに「働きやすい環境が生まれる」「お互いの信頼感が高まる」と挙げている。しかし、看護師の私語が患者やその家族に見聞きされた場合に与える影響を考えると、個々の看護師が「今話すべき事か」を考え、私語の在り方を意識したコミュニケーションが必要と考える。【実践への示唆】患者や家族が快適な環境で診療を受けることができるよう、個々の看護師が私語の在り方を意識したコミュニケーションが必要である。