[ポスター2-2] 卒後2年目看護職が対応に苦慮しやすい患者と場面の実態と課題
【背景】A病院のクリニカルラダー別の看護倫理・臨床倫理研修では、ラダーⅡを目指す看護職を対象に「相手のニーズをとらえ、人としての尊厳を守るケアについて理解する」を学習目標とした研修を開催している。202X年度は卒後2年目看護師・助産師(以下2年目看護職)を中心に61名が参加した。研修では事前課題レポートとして「患者との対応やコミュニケーションが難しかった場面」の記載を求めた。【目的】A病院の2年目看護職が対応に苦慮しやすい場面と患者を検討する。【実践内容・方法】2年目看護職の事前課題レポート46件の内、同意が得られた40件を対象に質的に分析した。事前課題レポート(以下レポート)の記載内容から、2年面看護職が対応に苦慮した場面と患者に該当する部分を抽出した。抽出した場面は、看護基本技術項目を参考に、場面を診療の補助(呼吸・循環を整える技術、与薬の技術)、療養上の世話(環境整備、食事援助、排泄援助、活動・休息援助、症状・生体機能管理、感染予防、安全確保、苦痛緩和)、患者をコミュニケーション障害(せん妄・混乱、認知症・認知機能低下など)の有無と状態(怒り、拒否・不同意、意志疎通困難など)で分類した。本研究は外部委員を含むA病院看護部倫理委員会の承認を得た(看護23-09)。レポートの使用においては個人が特定されないよう匿名化することと情報の管理について、また、学術集会で実践報告として発表することを書面で説明し、個別に承諾を得た。【結果】対応に苦慮した場面は、療養上の世話が24件、内訳は安全確保6件、排泄援助4件、苦痛緩和・安楽確保3件、活動・休息援助2件、症状・生体機能管理2件、環境整備2件、食事援助・呼吸循環を整える・感染予防が各1件、その他2件であった。診療の補助が16件、内訳は与薬13件(点滴静脈内注射7件、経口内服薬5件、その他1件)、呼吸・循環を整える3件であった。対応に苦慮した患者のうち、コミュニケーション障害あり20名、内訳はせん妄・混乱8名、認知症・認知機能低下5名、失語症4名、精神疾患・精神症状3名、コミュニケーション障害なし20名であった。40名の患者の状態の内訳は、怒り8名、拒否・不同意7名、意思疎通困難6名、ナースコール頻繁4名、理解できない・理由が分からない4名、苦情1名、その他10名であった。【考察】2年目看護職が対応に苦慮する患者はコミュニケーションの障害や怒りなどの感情を表出しており、患者背景にはせん妄や認知症等があると推察される。これらの患者に対する安全確保や与薬等の業務遂行において、患者の言動と看護実践が拮抗しやすい場面に苦慮しやすいと推察される。【実践への示唆】2年目看護職が相手のニーズをとらえるためには、患者状態のアセスメントとせん妄や認知症患者への適切な対応やコミュニケーション技術の習得、これらの場面におけるチームでの支援や対応等の必要性が示唆される。