第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター20群 業務改善に向けた取り組み①

Fri. Sep 27, 2024 3:45 PM - 4:45 PM ポスター会場 (展示ホール)

座長:早尾 弘子

[ポスター20-6] 看護業務の効率化による残業改善の取り組み

業務の可視化と平準化

岩橋 由紀子 (熊本地域医療センター)

【背景】働き続けられる職場環境の整備に向け、2019年より継続的に業務改善に取り組んできた。取り組みにより総残業時間は改善したが、残業の部署格差という課題が残った。2022年より院内全体の業務の可視化を通じ、看護単位を越えた業務調整を開始した。【目的】院内全体の業務の可視化と看護単位を越えた業務調整により、残業の削減と部署格差が改善した経緯を報告する。【実践内容・方法】業務の偏りを解消するために、病棟スタッフの業務を時間軸で一元化した「業務の進捗管理表」を活用した。業務調整は各看護単位・隣接した病棟間・院内全体の3段階で行い、病棟ごとの業務を可視化し、業務量に応じて応援に行く看護師を采配している。第1段階の「各看護単位」の業務調整は、師長を含めたすべての看護師が勤務時間内の業務を時間軸でホワイトボードに可視化し、師長は個々の看護師の業務設計能力をふまえ、重要度・緊急度を見極めながら業務の平準化を行う。第2段階は「隣接した病棟間」の業務調整である。一看護単位だけでは解決困難な急変やスタッフの欠勤等で生じた業務過多に対し、各師長が互いの看護単位の業務進捗を共有し、業務内容に応じた適切な人材を応援調整する。第3段階の「院内全体」の業務調整は、刻々と変化する各看護単位の動向に応じ、看護副部長が院内全体の情報をつなぎながら応援調整を行い、院内全体の業務の平準化を実施している。応援調整が円滑に行えるように、個々の看護師が持つスキルを明確にしている。【結果】病棟ごとに日によって患者の重症度や業務量に差があり、一部の病棟の看護師の負担が大きくなっていたが、全病棟の業務を時間軸で可視化することで、各病棟の業務の進捗状況が把握しやすくなり、応援調整をする病棟の優先順位の判断が容易となった。各看護単位では、業務の重要度・緊急度をふまえた業務調整により終業時の残業改善に至った。個々の看護師の残業は改善し、202X年度の個人の残業時間は最大46時間/年から202Y年32時間/年まで改善が見られた。隣接した病棟間、院内全体の業務調整により、残業時間の部署格差は、202X年度では最大で307時間、最小で119時間、差は188時間であったが、202Y年度は最大194時間、最小時間72時間、差は122時間となった。看護部全体の総残業時間は、202X年度2445時間、202Y年度は2343時間と改善した。【考察】3段階のプロセスを通じた業務調整は、院内全体の業務の進捗管理につながり、残業時間の個人・部署格差の改善となった。時間軸で業務を可視化したことにより、個々の看護師が常に時間管理を意識した業務進捗を行い、業務量に応じた応援調整により残業時間の改善に至った。【実践への示唆】 働き続けられる職場環境づくりに向けて、残業という職場環境の改善だけでなく、業務改善により生まれた時間をベッドサイドケアの充実に向け、看護の質の向上につなげることが重要となる。