[ポスター20-5] 夜勤の超過勤務の実態と課題
【緒言】急性期病院であるA病院B病棟は、看護師3人で2交代制16時間の夜勤を行っている。202X年度の取り組みで、夜勤後の超過勤務削減と看護記録のリアルタイム化を挙げた。先行研究では、夜勤明けの超過勤務が常態化しているが、その実態調査研究は少ない。【目的】夜勤後の超過勤務の実態と課題を明らかにする。【方法】対象はB病棟の夜勤業務に従事する看護師24名で、202X年9月18日から10月17日に、夜勤後の残務の時間と種類について、勤怠管理システムの残業申請の25項目を用いて調査した。また、総超過勤務時間から夜勤後の超過勤務時間の割合、夜勤終了時の9時15分以降に記載した看護記録の記載内容から看護ケアの事象との記録の乖離時間、患者数、看護度、離床センサーの使用人数、転倒リスクのある患者数を調査した。項目ごとに記述統計を行い、その結果から業務改善の課題を考察した。A病院の研究倫理委員会で承認を得た。(承認番号5-120-1)【結果】夜勤後の残務の種類と項目毎の総超過勤務時間は、看護記録が28時間47分(78.4%)、日常生活援助が1時間44分(4.7%)、サマリー作成45.0分(2.0%)、委員会・研修会の準備、運営、WG活動45.0分(2.0%)、入院取り扱い30分(1.4%)等であった。総超過勤務時間は300時間31分、夜勤後は36時間43分であった。1日あたりの超過勤務平均時間は9時間42分、夜勤後は1時間11分(12.2%)であった。9時15分以降に記載した看護記録は93件で、そのうち7時台が27件、6時台が23件等であった。看護ケアの事象と記録時間の乖離時間の平均は2時間17分であった。1日あたりの、平均患者数は32人、看護度はA(常時観察が必要)が1.1人(3.4%)、B(1から2時間ごとに観察が必要)が18.3人(56.4%)、C(継続した観察は特にない)が12.8人(39.3%)、離床センサーの使用人数は7.5人、行動制限患者は3.3人、転倒リスク患者は21人であった。【考察】6時から7時台に起きた看護ケアの記録がリアルタイムに実施できないのは、6時から患者ラウンドや採血を行うため、看護ケアに追われ、記録の時間が確保できないこと、入院対応では初回抗生剤等の点滴処置等を優先し、看護記録は業務が落ち着いた時に記載となることが要因と考えられた。さらに、離床センサーの使用や行動制限患者、転倒リスクのある患者等の看護度の高い患者を担当すると、日常生活援助で9時15分を超過することが分かった。日常生活援助については、ナースエイドやフリー看護師と協同し、日勤看護師でも可能な業務は移譲するなど業務を選別し、朝食後の口腔ケア終了後の8時台後半に看護記録の記録時間を確保すれば、超過勤務の削減につながるのではないかと考える。【結論】1.夜勤後の残務の種類と時間は、看護記録と日常生活援助で8割を占めた。2.6時から7時台に起きた看護ケアの事象記録がリアルタイムに実施できていなかった。3.スタッフ間で業務を調整し、8時台後半に看護記録の記録時間を確保する。