[ポスター30-1] 糖尿病個別指導プログラム導入の効果
糖尿病療養指導カードシステムを活用して
【背景】A病棟看護師の業務は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い多岐にわたり患者への糖尿病教育に割く時間の確保が困難になった。また、糖尿病看護の経験が少ない看護師が増え、患者の個別性に応じた積極的な指導を十分に行えていない現状があった。そこで、患者の全体像を捉えるための糖病病指導シートを作成し、糖尿病カードシステム(Diabetes card system;以下、CS)を活用した個別指導プログラムを導入した。本プログラムは、個別性のある患者教育を行う事に繋がるのではないかと考えた。【目的】本研究の目的は、個別指導プログラム導入による看護師への効果を導入前後で質問紙調査により比較することである。【実践内容・方法】研究期間は、202X年の8か月間とした。対象は、A病棟看護師導入前31名、導入後30名(看護師長・新人看護師を除く)とした。個別指導プログラムを3か月活用し、導入前後に質問紙調査を行った。質問紙は、看護師の属性、糖尿病指導の実践経験について問う内容で構成した。属性以外は、先行研究を参考に4段階リッカート尺度で回答を求めた。分析方法は、記述統計およびMannWhitneyのU検定を用いた。B病院研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:看2023-16)。研究の目的、内容に加えて情報は保護されること、協力は自由参加であること、得られたデータは研究以外に使用しないことを提示し、同意を得て回答とした。【結果】回収率は100%、有効回答率は導入前が90.6%、導入後が100%であった。導入後の糖尿病指導については、「内容を患者にわかり易く指導できる」(p=0.015)「問題点に対して個別指導を行う事ができている」(p=0.013)で有意に上昇した。糖尿病指導についての自身の行動や思いについては、「指導が正しくできているか不安」(p=0.001)「具体的にどのような指導をしていいのかわからない」(p=0.008)等の6項目で有意に低下した。「糖尿病患者から糖尿病に関する質問があった時答えられるか不安がある」(p=0.256)では有意差を認めなかった。【考察】CSを活用し具体的な指導の進め方や指導内容を明確化した事で統一した指導を行う事ができ、指導に対する不安軽減に繋がったと考える。また、糖尿病指導シートを活用する事で患者の全体像を捉えやすくなり、患者の生活情報に基づいた指導内容を決める事が出来るようになったと推察する。CSを活用したことが患者にとって分かりやすく個別性のある患者教育への充実に繋がったと考える。【実践への示唆】導入後も患者からの質問に答えられるかなどの知識面での不安の意見は多く、CSの内容を参考にしながら知識の向上に向けて定期的な勉強会を開催し知識を深めていくことが今後も課題である。また、今後もCSを活用した指導を継続し、経験を重ねることで指導を行う意識に変化が生まれ、興味をもって指導をできることに繋がっていくのではないかと考える。