第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

Presentation information

ポスター

ポスター32群 業務改善に向けた取り組み②

Sat. Sep 28, 2024 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:岩澤 由子

[ポスター32-4] ケア時間確保に向けた業務改善の取り組み

ボトムアップの改善活動を実施して

七條 伸啓, 桂 優子, 伊津野 恩 (済生会熊本病院)

【背景】A病棟は、低侵襲治療の増加と集中系病床の後方病棟としての役割により、重症化、複雑化する患者に対し専門性の高い医療の提供が求められている。このような中、看護ケア充実への時間確保が課題であった。そこで、業務改善委員を中心に申し送り廃止など改善活動を実施してきたが定着に至らなかった。役職、委員会メンバー中心での活動となり、スタッフが業務改善の意図や必要性を理解できていないことが原因であったと考えた。そこで、スタッフ主体の業務改善に取り組んだ。【目的】スタッフ主体のボトムアップ式業務改善の仕組みを構築する。【実践内容】A病棟看護師41名に対し、①意識調査(病棟業務における改善が必要な業務の抽出:自由記載)を実施。②意識調査をもとにカテゴリー分類を行い、5つの改善内容を選定③スタッフへ参加したい改善内容のワーキンググループを調査し、希望に添ったグループを編成し活動を開始した。【分析内容】改善活動前(2023年X月)、後(2024年X月)の朝礼時間、内服管理に係る時間の変化を調査。【倫理的配慮】本報告はB病院看護部倫理審査会の承認を得た。【結果】意識調査の結果、改善が必要な項目は「記録」「物品管理」「内服管理」「申し送り」「タスク・シフト/シェア」「PNS」「患者教育」にカテゴリー分類された。この結果より「申し送り見直し」「内服自己管理推進」「定時病棟ラウンド導入」「ケアアシスタントへのタスク・シフト/シェア」「看護方式の見直し」の5つの改善グループを編成し、部署スタッフ全員がいずれかのグループで活動できている。ボトムアップ式業務改善の効果として、①申し送りの廃止②内服の患者自己管理の推進の提案があり、業務のスリム化に繋がった。その結果、約20分かかっていた申し送りを廃止し、内服管理に係る時間も、延べ約210分/日から約150分/日に短縮することができ、計80分/日の時間確保ができた。【考察】真喜志らは「業務改善とは、スタッフの意識改革である」と述べており、またトヨタ式カイゼン活動の特徴も、「ボトムアップ式での問題解決」であり「単純な「指示待ち」の状態から「自ら動き出す」という状態に変革することが最も重要である」とある。今回、スタッフ全員をグループに帰属させ業務改善に巻き込む事で、スタッフに当事者意識が芽生え、自ら動き出す事により、業務改善の意図と必要性が理解できたと考える。また自分たちで話し合ったことを実践、評価、改善を繰り返していくことで、スタッフのモチベーションの維持に繋がり、業務改善の定着化に至ったと考える。【まとめ】ボトムアップ式の業務改善を実施し改善活動が定着したことで、時間の確保につながった。今後も部署全体で改善活動を促進し、抽出した時間を有効に活用し、患者ニーズを予測したケアの実施しや、患者教育の充実を図っていきたい。