第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

Presentation information

ポスター

ポスター33群 褥瘡ケア

Sat. Sep 28, 2024 10:30 AM - 11:30 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:田中 久美

[ポスター33-4] 褥瘡予防に対する効果的なポジショニングの理解と実践

~スタッフへの実践指導を通して~

原尾 美姫, 尾崎 花音 (佐世保中央病院)

【緒言】A病棟は脳神経外科・神経内科・腎臓内科病棟であり、7割以上の患者が脳血管疾患患者である。そのため、褥瘡発生のハイリスク状態にある患者が病棟全体の6割以上を占めている。対象患者のベッドサイドには、ポジショニングシートが掲示されており、定期的な体位交換・ポジショニングを行っている。しかし、2021年度におけるA病棟での新規褥瘡発生件数が、A病棟の目標値の5件/年以下を上回り14件/年であった。【目的】褥瘡予防に関する理解を深め、効果的なポジショニングについての知識・技術向上を目的とした介入を行った。【方法】A病棟看護師10名に対して質問調査用紙を用いた褥瘡予防に関する実態調査と褥瘡予防に関する知識テストを勉強会前後で実施。参考文献で使用されていたポジショニングチェック表を用いた実技テストをポジショニングの実技指導前後で実施。「頭」、「体幹・アライメント」、「かかと」の3つで評価し、0点に近いほど高評価とした。実技指導後の評価は、実技の定着を確かめるため4週間後とした。勉強会前後でのテストの点数と、ポジショニング指導前後での実技テストの点数は対応のあるt-検定を用いて比較した。倫理的配慮として、対象者に対し、研究の目的と方法、参加は自由意志であること、不参加による不利益が生じないことを文書及び口頭で説明し質問紙調査表の提出により同意を得た。【結果】体位交換のタイミングは「オムツ交換時」に次ぎ、「ラウンド時」「食前」、介入後は「患者の表情が辛そうな時」等の回答があった。知識確認テストを行い、勉強会前の平均点は38.7点、勉強会実施後の平均点は71.6点と上昇が見られ、有意差を認めた。ポジショニング実技指導前の平均点は3.8点、また指導後(4週間後)の平均点は0.6点と改善が見られ有意差を認めた。項目別に見ても、平均点に改善を認めており、多くのスタッフが適切なクッションの当て方ができていた。【考察】実態調査の結果より、多くのスタッフがオムツ交換時に体位交換を行っていることがわかった。介入後は、オムツ交換時以外の回答が増えたことから、日常的に患者のポジショニングに配慮していることがうかがえた。更に実技指導も行うことによって、正しいポジショニングが定着し、重要性を体感することで実技の向上にも繋がったのではないかと考える。【結論】体験を含めた勉強会や指導は、知識・技術の向上に効果的である。褥瘡予防ケアに関する意識向上や、知識・技術の定着のため継続した介入が必要である。