[ポスター4-4] 新人看護師が入職後に抱えていた思い
学生時代をコロナ禍で過ごした新人看護師
【緒言】新型コロナウイルス感染症(以下コロナ)の拡大により、看護実習は日程の短縮や中止を余儀された。これにより学生時代をコロナ禍で過ごした新人看護師は、実習を通して学ぶ看護技術やコミュニケーションが不十分な状態で入職してきた。そのため不安や緊張が強く様々な思いを抱いていたと考える。【目的】学生時代をコロナ禍で過ごした新人看護師が入職後に抱いていた思いを明らかにし、新人看護師の支援のあり方の示唆を得る。【方法】A病院倫理審査委員会の承認を得た(承認番号R5-07-28)。研究対象は202X年にA病院に入職した新人看護師6名。対象者に個人が特定されないように匿名化すること、情報の管理について、学会発表後にデータを破棄することについて文書を用いて説明し同意を得た。インタビューガイドを用いて入職時及び入職6か月頃に抱えていた思いを自由に語ってもらい、承諾を得てICレコーダーに録音し逐語録を作成した。入職時及び入職6か月頃の思いを抽出しコード化し、全コードについて類似性と差異性を比較検討し、類似する内容をもつものをサブカテゴリ―として集めた。サブカテゴリ―間で類似性と差異性を比較検討し類似する内容をもつものをカテゴリー化した。【結果】入職時の思いには「仕事に対する喜び」があり、先輩看護師への憧れと仕事の楽しさ、社会人としての自覚に支えられた喜びであった。反面、「仕事に対する戸惑い」を抱えていた。この戸惑いは、患者・先輩看護師との関わりの困難さや職場環境への不安、現実の壁を感じるという思いで構成されていた。入職6か月頃には「仕事に対するやりがい」を感じており、仕事に対する向上心、社会人としての義務感、スタッフとの良好な人間関係、仕事への喜びから成り立っていた。一方で「仕事に対する困難さ」を抱えていた。スタッフ・同期との関係構築や患者との関わりに難しさや困難さを感じ、業務量が増えたことに対する辛さを感じていた。【考察】入職時の「仕事に対する喜び」は6か月頃には「仕事に対するやりがい」へと変化していた。6か月間のローテーション研修を終え各部署に配属された新人看護師は、実践できることが増える中ワーク・エンゲイジメントを高めていったと考える。しかし、複数の業務遂行や複数の患者の受け持ち、多職種との関わり等、入職時と比較し業務量が増え人間関係も広がることで入職時の「仕事に対する戸惑い」は6か月頃には「仕事に対する困難さ」に変化したと考えられる。入職時、入職6か月頃のいずれもコロナ禍特有の思いはみあたらなかった。【結論】学生時代をコロナ禍で過ごした新人看護師の入職時、入職6か月頃の思いは、コロナ禍前と同様であり、主に他者との関係に対するものであった。新人看護師の支援のあり方として、新人看護師を含めたチームメンバーで日頃の看護実践を語り合える場をつくるなど、スタッフ間の関係を向上させる取り組みが考えられる。