[ポスター4-3] 初めて急変対応した看護師へのインタビュー
コロナ禍の看護教育を経験した看護師の思い
【緒言】新型コロナウイルス感染症対策により、看護教育機関は大きな影響を受けた。新人看護師は例年に比べて教育時間が減少した為、大きな不安を抱えたまま病院に就職している。コロナ禍の新人看護師研修の内容について、全国的に議論が進んでいる中で、当事者達の思いを知ることは重要である。【目的】初めて急変対応を行った際、適切な対応が行えない新人看護師がいた。そこで、コロナ禍で看護教育を十分に受けることが出来なかった看護師の急変対応に対する思いをインタビュー調査し、その思いを知ることを目的に本研究に取り組んだ。【方法】コロナ禍での看護教育を受けて就職した2~3年目の5名の看護師を対象とし、半構造化インタビューを用いた聞き取り調査を行った。対象者には個人が特定されないよう匿名化することを説明し同意を得た。インタビュー内容は「急変時に直面し、どのような対応を行ったか」「急変時に遭遇した時に感じたことや考えたことなどの思い」「急変についての不安や気がかりの内容」「コロナ禍の教育を受けた中で不利だと思うことは何か」などであった。インタビュー内容をもとにコードを抽出し、カテゴリー化して分析し、質的研究の指導経験者から指導を受けた。本研究はA病院研究倫理審査委員会の承諾を得て実施した。(承認番号RX-002)【結果】今回のインタビューで抽出された39個のコードから15個の中カテゴリーに分類し、さらに3つの大カテゴリーに分類された。大カテゴリー①【コロナ禍の看護教育を経験した看護師の思い】は8つの中カテゴリーから構成された。大カテゴリー②【初めての急変対応後の不安・恐怖・後悔】は4つの中カテゴリーから構成された。大カテゴリー③【初めての急変対応後の前向きな思い】は3つの中カテゴリーから構成された。【考察】大カテゴリー①コロナ禍の看護教育の制限や実習時間短縮に直結した気持ちのため、新型コロナウイルス流行以前にはなかった看護師の思いであると考えられる。病棟実習が全国的にできていない現状において、卒業した教育施設では病棟実習時間を確保できたと考えている看護師がいることも分かった。個別の実習経験の確認が必要だと考えられる。大カテゴリー②【初めての急変対応後の不安・恐怖・後悔】と、大カテゴリー③【初めての急変対応後の前向きな思い】は新人看護師の初めての急変対応の反応として一般的であったことから、コロナ禍で教育を受けた看護師以外であっても感じる思いであると考えられる。【結論】コロナ禍で看護教育を十分に受けることが出来なかった看護師は不満や不安を抱え、新人看護師としての実力不足を感じていたことが急変に対応した看護師へのインタビュー調査から明らかとなった。コロナ禍以降の看護教育を受けた看護師だからこそ抱く思いを個別に確認しながら、技術的、精神的フォローを含んだ新しい新人看護教育体制づくりが今後は必要であることが分かった。