第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター48群 精神看護②

Sun. Sep 29, 2024 9:00 AM - 10:00 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:屋嘉比 浩子

[ポスター48-5] 精神疾患患者の終末期を振り返る

-感情表現に焦点を当てて-

佐伯 柊哉, 椎名 静代 (かみいち総合病院)

【背景】A氏(50代)は、B病院神経精神科病棟で統合失調症と乳癌ステージⅣによる6年の療養生活を経て最期を迎えた。その症状は、全身の疼痛と、統合失調症による陽性症状と陰性症状の日内変動により生活動作の支援が必要であった。B病院神経精神科病棟看護職(以下看護職)は、A氏のさまざまな感情をくみ取り、ケアへつなげてきたと考える。そこで看護職が、精神疾患患者の終末期を振り返り、患者の感情表現を捉え、その意味を可視化し共有したことを報告する。【目的】 看護職が、精神疾患患者の終末期において捉えたA氏の感情表現とその意味について振り返る。【実践内容・方法】A氏に関わり同意を得た看護職13名を対象に202X年10月、終末期におけるA氏の感情表現とその意味について独自に作成したインタビューガイドを用いて看護職経験年数6ヶ月~15年(神経精神科経験年数3年未満)の看護師7名、看護職経験年数16年以上(神経精神科病棟経験年数3年以上)の看護職6名の2グループへグループインタビューを実施した。収集したデータは、研究指導者のスーパーバイズを受け、複数の研究者で繰り返し検討を行い分析した。また本研究は、B病院医療倫理規定に基づき医療倫理委員会の承認を得た(承認番号15-20230719)。【結果】看護職は、終末期におけるA氏の感情表現として「言葉」「声のトーン」「視線」「表情」「身振り・しぐさ」を捉えていた。また看護職が捉えたA氏の感情表現とその意味は、「言葉」では、肯定的な感情の表現として<要望><喜び>、否定的な感情の表現として<拒否><苦痛><不安>であった。「声のトーン」では、肯定的な感情の表現として<安心><喜び>、否定的な感情の表現として<拒否><苦痛>であった。「視線」では、肯定的な感情の表現として<要望><了承>、否定的な感情の表現として<拒否><苦痛>であった。「表情」では、肯定的な感情の表現として<了承>、否定的な感情の表現として<苦痛><沈滞>であった。「身振り・しぐさ」では、肯定的な感情の表現として<了承><協力><安心>、否定的な感情の表現として<拒否><苦痛>であった。【考察】看護職は、精神疾患患者の終末期においてA氏の感情表現からその意味を看護職経験年数や神経精神科経験年数、またA氏の病状の時期に関わらず共通認識として捉えていた。このことは、看護職が6年間の療養生活におけるA氏や家族との関わりにおいてA氏の感情表現とその意味を捉えてケアへつなぎこのことを最期まで続けてきたと考えられる。【実践への示唆】精神疾患患者の終末期においては、患者個人の感情表現とその意味についてカンファレンス等で医師・看護職間や緩和ケアチームなど多職種で共有し、個人に応じたケアへつなげている。(1153)