第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター49群 介護・福祉関係施設等における看護

Sun. Sep 29, 2024 9:00 AM - 10:00 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:山川 将人

[ポスター49-1] 高齢者福祉施設で働く看護職の研修ニーズ

アリヤ 聖子, 林 晴美, 林 裕栄, 市原 かつ江, 鷲尾 かおる, 長谷部 朋子, 飯島 若子, 栁澤 大恵 (埼玉県看護協会看護師職能Ⅱ委員会)

【緒言】高齢者福祉施設(以下、特養)は入居施設の中では最大のベッド数を持ち、唯一の医療職として看護職の役割は大きく、高齢者の終の棲家となる施設看護は、今後さらに期待されると考える。しかし、特養で働く看護職向けの研修体系の構築は十分とは言えず、研修ニーズに関する研究も殆どない。【目的】特養で働く看護職の研修ニーズを調査し、高齢者施設で働く看護職の研修体系構築の一資料とする。【方法】A県の老人福祉施設協議会加入の特養313施設で働く看護職対象の調査(管理者等を除く)。看護職の属性、今後受けたい研修、技術や知識を高めたい理由(自由記述)等についてQRコードを読み取り回答するWebアンケート調査を実施。依頼文書には研究参加は自由意志であり、参加の有無で不利益を被らない事、回答は無記名で施設は特定されないよう集計することを明記した。202X年7月1日~10月31日に返信された回答を研究協力の同意を得たものとし、各項目の単純集計を分析した。A県立大学の研究倫理審査委員会の承認(22080)を得た。【結果】161人の回答を対象とした。看護職の年齢は、20代2人、30代13人、40代43人、50代65人、60代38人。現職場での経験年数は、1年未満14人、1~5年46人、6~10年44人、11~15年29人、16年以上28人。現職場以前の職場は、病院89人、特養24人、診療所12人、訪問看護11人、老人保健施設8人、デイサービス・身体障害者施設がそれぞれ4人、企業3人、その他6人。入職後の外部研修の受講あり103人、なし57人、無回答1人。これから受けたい研修(重複回答)は、看取り期のケア90件、褥瘡ケア77件、感染管理69件、摂食・嚥下ケア55件、意思決定支援37件など。学習する機会の必要性あり157人、なし4人。看護の能力や技術を高めたい140人、その理由(自由記述)は、「常に新しい情報を取り入れたい」「医師不在の施設では、判断するための技術や知識の修得が必要」「最近の治療や看護について外部からの情報が入りにくい」「学習する機会が少ない」「老年看護に関する研修が少ない」などの意見があった。【考察】特養の看護職は、年齢40代以上が約9割を占め、以前の職場の多くは病院であるとから、経験豊かな看護職であると考えられる。しかし、この年代の基礎教育科目において老年看護学や在宅看護論を十分に学んでいるとは言い難く、生活モデルの看護について実践の中で体験的に学んできたと推測する。看護職の多くは生活の中の看護の知識や技術を高めたいと考えており、継続教育の必要性を感じているが、学習する機会が少なく新しい知識が入りにくいという現状があることもわかった。これらの結果より、看護職の背景やおかれている環境を考慮し、ニーズに合った研修を行うことが求められていると考える。【結論】特養で働く看護職の研修は、内容の工夫や、特養の環境を考慮した情報発信や方策を講じる必要がある。