第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター50群 出産・育児への支援

Sun. Sep 29, 2024 9:00 AM - 10:00 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:濱嵜 真由美

[ポスター50-1] E P D S高値要因と育児準備支援ニーズ調査

産後健診から母親のニーズを把握する

林 有香, 石川 千恵, 稲田 ゆかり, 金盛 京子, 川西 美樹, 増谷 円 (聖バルナバ病院)

【緒言】妊娠・分娩・育児に関する不安や戸惑いによる抑うつはエジンバラ産後うつ病質問票(以下EPDS)高値要因のひとつだが、育児のストレスや不安は妊娠期の育児準備行動により軽減できると明らかになっている。EPDSと産後の母が妊娠期に知りたかった・体験したかった育児準備(以下、育児準備支援ニーズ)との関連を調査し、妊娠期からの育児支援に役立てたい。【目的】 EPDS高値となる要因、EPDSと育児準備支援ニーズ15項目との関連を明らかにする。【方法】産後1ヶ月健診に来院した初産婦149名に育児準備支援ニーズについて無記名自記式質問紙調査を行った。妊娠期のスクリーニング項目等についてはカルテから情報を収集した。統計解析にはSPSSを用い、EPDS高値のリスク要因・育児準備支援ニーズとの比較はMann-WhitneyのU検定、EPDSと育児準備支援ニーズの合計数の相関はSpearmanの順位相関係数をいた。調査実施前に対象者には個人が特定されないよう匿名化することと情報の管理について、また、学術集会で症例報告として発表することを書面と口頭で説明し同意を得た。本研究はA病院の倫理審査を受け承認された。(承認番号00036)【結果】2週間以上続く情動変動(p=0.014),精神疾患既往(疑いも含む)(p=0.018)、妊娠期に経済面や育児への不安がある(p=0.044)においてE P D Sが有意に高かった。さらに、乳児との接触経験が無いとE P D Sが有意に高かった。(p=0.049)育児準備支援ニーズの内容では、母乳のあげ方56.38%、泣く理由とあやし方47.65%、授乳のリズム44.3%の順で多かった。育児準備支援ニーズ合計項目数とEPDSには弱い相関がみられ(r=0.201)、育児準備支援ニーズの『周囲のサポート調整』においてE P D Sが有意に高かった。(p=0.011)【考察】妊娠育児に対する不安、情緒変動などリスク因子がある場合、EPDS高値となる傾向がみられた。また、乳児との接触経験の少なさがE P D S高値につながる。『周囲のサポート調整』が知りたかったと答えた群がE P D Sが高かったことから、妊娠中から育児を視野に入れ妊婦の心理面を個別にフォローし、体験など乳児との接触経験を増やし支援者との役割調整についても効果的なコミュニケーション法やパートナーシップなどの指導を行っていく必要がある。【結論】2週間以上続く情動変動、精神疾患既往、妊娠期の経済面や育児への不安がE P D Sが高値の要因としてあげられた。乳児との接触経験が無いとE P D Sが有意に高く、育児準備支援ニーズの『周囲のサポート調整』においてE P D Sが有意に高かった。よって、妊娠期から育児やサポートについて話し合うことが必要だと示唆された。