[ポスター51-3] 学生のリアルな子ども理解を目指した演習の効果と課題
学生の子どもイメージを作る講義作り
【背景】小児看護では、ケアのすべてに子どもの発達段階の視点を含めて思考・行動できるように支援することが必要である。しかし核家族化と少子化に伴い、子どもと接触する機会が減少し、子ども理解に乏しい学生が増えている。【目的】学生のリアルな子ども理解を目指したロールプレイ演習(以下演習)が、学生の子ども理解と発達に応じた看護を考える上で、どのような効果があるかを明らかにする。【方法】対象はA校2年生65名。202X年2月~3月に実施。質問紙(子どもの成長を考えた関わり8項目と2年次看護過程学習への効果1項目・4段階評価、演習の効果と課題等を自由記載)調査とし、オンラインアンケートを用いた。質問への協力は自由意思で不参加による不利益がないこと、データは研究目的以外に使用しないこと等を説明し、匿名で質問紙への回答をもって同意を得たとした。B病院倫理審査委員会の承認を得た。A校小児看護学では1年次より、子どもの理解を目指しグループで架空の子どもの名前を考え、その子どもの成長発達について考える子育てワークと共に、様々な子どもの動画を視聴している。本演習では1年次に、子育てワークで育てた子どもが入院し検査を受ける設定で、プレパレーションを立案し実施する。教室を病床環境とし家族役は学生、子ども役は人形を活用し教員が変声器により子どもの多様な反応を提示し、子どもの不安軽減に向けた対応を引き出すことを目指した。【結果】子どもの成長発達理解と看護過程学習への効果を問う質問では、93%以上が肯定的な回答であり、子どもの思いを聞き、発達に合わせた対応や頑張りを褒める関わりがわかったと回答した。自由記載をカテゴリー化した結果、演習の効果は〔子ども理解〕〔リアルな看護実践〕〔学びの深化〕、課題は〔視聴覚教材の活用〕〔実際の子ども〕を抽出した。【考察】本研究により演習が、子ども理解と2年次看護過程学習に好影響を及ぼすことが明らかになった。実際の病床に近い環境を設定し、学生の子どもへの声かけや関わりを受けて、教員がすぐに成長発達段階に即した反応を示すことは、学生が〔子ども理解〕や、看護を具体的に考える〔リアルな看護実践〕をもたらしていた。つまり、子育てワークや動画によって学生は子どもイメージが形成されていたが、演習で子どもイメージとはかけ離れた反応に直面したことで、目の前で苦しむ子どもを実感し、自分は何ができるかと考える動機づけになった。この〔学びの深化〕により、演習のみならず看護過程への学びに結びついたと考える。【実践への示唆】学生の子ども理解を深めるために、教材研究が課題となった。今後はリアルな子ども理解をめざして、子ども人形や視聴覚教材を併用した子育てワークにより、段階的に子どもの成長を感じられるようにしていきたい。