第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター51群 看護基礎教育①

Sun. Sep 29, 2024 9:00 AM - 10:00 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:花井 理紗

[ポスター51-2] ロールプレイを取り入れた看護過程の授業実践

「実施」「評価」に焦点をあてて

安藤 桂子 (所沢看護専門学校)

【背景】筆者が担当する看護過程を学ぶ講義では、後の基礎看護学実習を踏まえ、従来は第3段階の「計画」までを各自が事例演習として経験できるように構築してきた。しかし、実習で、「実施と評価は未経験だからわからない、できない」という学生の声が聞かれるようになった。そこで講義の中で看護過程の全段階を経験することが必要だと考え、演習を取り入れた。【目的】看護過程の「実施」「評価」をロールプレイにより経験できるように構築した演習により、基礎看護学実習での看護過程の展開において効果が得られたか明らかにし、今後の教育方法の示唆を得る。【実践内容・方法】講義・演習内容:45時間中、18時間が看護過程の各段階の説明、次の20時間は各自が模擬電子カルテを使用し「アセスメント」「看護問題の明確化」「計画」の事例演習を2事例実施した。その後、「実施」「評価」の演習を4時間、2事例目で立案した看護計画の一部分をロールプレイで実施した。役割は立案者、看護師、患者で、看護師役は立案者と看護計画を共有してから演じた。その実施の場面を立案者が観察し、必要なS情報とO情報を集め、SOAPを記述しながら看護を評価した。調査方法:演習レポートの記述内容は1文をデータとして抽出し、同じ意味内容をカテゴリ化した。基礎看護学実習終了後に看護過程とSOAPの記録について、独自の無記名記述式アンケートを実施し、数的データは単純集計し、自由記載は前出と同様にカテゴリ化した。倫理的配慮:A看護学校倫理委員会の承認を得た。(承認番号6)対象学生に目的、方法、匿名性の保持等について口頭及び紙面にて説明し、書面でデータ使用の同意を得た。【結果】対象学生は34名、演習レポートは全員提出し無記名アンケートの回収率と有効回答率は100%だった。演習レポートでは看護計画について、〈他者に伝わる計画〉〈具体的、5W1H〉〈看護の目的、目標〉〈対象を考えた援助〉の4つのカテゴリを抽出した。アンケートでは看護過程の1~4段階は「できた」「少しできた」が85%以上、「評価」が64.7%だった。また、「SOAPで記述して評価した」と答えた学生が97.1%だった。S、O、Aについては80%以上の学生が「できた」「少しできた」と答えていたが、Pは67.6%だった。SOAPについての自由記載では、〈講義、演習との関連〉〈記述の難しさ〉〈SOAPで記述することの意味〉を抽出した。【考察】臨床における看護チームでの実践では、看護計画が他者(看護師)に伝わることは必須である。演習で計画の立案者と実施者を別にして計画の共有の時間を作ったことで、伝わる看護計画の重要性を学ぶことができた。学生は臨地実習で実際にSOAPを使って看護の評価をしており、この演習の効果は得られたと考える。【実践への示唆】学生ができなかったと感じている看護過程の「評価」とSOAPのPについて、演習の増加、フィードバック等の支援が必要である。