第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター52群 対象と向き合う看護職の意識②

Sun. Sep 29, 2024 9:00 AM - 10:00 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:宮﨑 貴子

[ポスター52-1] 緊急入院に関する意識調査からの改善策

看護管理者と病棟看護師の感情の相違より

井出 伸子, 鈴鹿 則子, 鈴木 貴子, 飯田 理佳 (草加市立病院)

【緒言】緊急入院時、依頼側と受ける側の対話に関し、互いに不快な感情を生じることがある。円滑な緊急入院受け入れを目指すため、看護管理者と病棟看護師の意識調査を実施した。【目的】緊急入院に関する看護師間の円滑な連携や、業務負担軽減に向けた改善策の糸口を明らかにする。【方法】看護管理者と病棟看護師を対象に、Webによる自記式質問紙調査を行い、記述統計(単純集計)で回答傾向を分析し、自由記載欄はカテゴリー化した。対象者には個人が特定されないことと、収集したデータは研究以外では使用しないことを説明し承諾を得た。A病院の研究倫理委員会の承認を得た。(承認番号A-2201)【結果】1.看護管理者が病棟看護師に緊急入院を依頼する時に生じる感情の上位は「常に否定的」「状況によっては否定的」であり、依頼された時の病棟看護師は「否定的」な感情が上位であった。2.依頼時の病棟看護師の対応は「否定的」「状況によっては否定的」と看護管理者は感じているが、病棟看護師が看護管理者に対する対応は「普段と変わらない」であった。3.看護管理者が緊急入院を依頼する際に大変さを感じる要因として「当該科と他科との違い」「空床ベッドの位置」が上位であり、病棟看護師が受け入れる際に大変さを感じる要因は「当該科と他科との違い」「時間、時間帯」「他の入院患者の重症度」が上位であった。また、受け入れる際に大変さを感じる項目の上位としては「家族対応」「書類作成」「プロフィール聴取」であった。4.緊急入院の捉え方を比較すると、看護管理者は「緊急入院患者、家族の安心につながる」「病院経営につながる」、病棟看護師は「業務への影響」「他入院患者の看護が手薄になる」など差がみられた。5. 自由記載欄からの改善策として、看護管理者からは接遇に関して再教育が必要という「スタッフ教育」などの7カテゴリー、病棟看護師からは、懲罰的な対応をしないでほしいなどの「看護管理体制の改善」を含む10カテゴリーを生成した。【考察】1.緊急入院受け入れのための実践可能な業務改善策は「空床ベッドの確保」「受け入れる時間帯の調整」「記録、書類にかかる時間の削減」「タスクシフト」を挙げ、これらを実践することで業務負担軽減につながると期待される。2.対話に不快な感情を生じていたのは、思い込みの感情が先行していたという先入観と、役職の有無による意識の違いと考えられる。3.互いを尊重しながら相手を否定しないコミュニケーションで心理的安全性を高めることが、看護師間の円滑な連携を図るために必要な改善策の糸口であると考える。【結論】不快な感情が生じる背景には業務負担が影響していることが明らかになった。しかし看護管理者としては業務改善だけではなく、心理的安全性を高める組織づくりが重要になる。そしてこれらが看護師間の円滑な連携に向けた改善策の糸口となり、延いては患者の安心した療養につながる。