[ポスター52-2] 血液疾患患者の想いを捉える看護師の行動
ベテラン看護師に焦点を当てて
【緒言】血液疾患は治療期間が長く再発や合併症を繰り返すことが多いため、患者は不安やストレス、行動制限により孤立感や拘束感を感じやすい。患者に与える看護師の影響は大きく、10年目以上勤務するベテラン看護師は患者の内面に関する情報を多く持っていた。しかし様々なコミュニケーションスキルについては紹介されているが、患者の価値観や想いを引き出す具体的な方法についての報告は少ない。患者の想いをどのように把握し介入しているか明らかにすることで、患者との関わりの中で困難と感じている看護師の一助となると考えた。【目的】血液内科に勤務するベテラン看護師が血液疾患患者の価値観や生きていく中で大切にしていることをどのように把握しているかを明らかにする。【方法】質的記述的研究。202X年12月~202Y年1月に10年目以上勤務する看護師3名に、患者との関わりの中で気をつけていること、患者の想いをどのように聞き取ったか、患者に想いを表出されたときどのように対応したか、どのように看護に繋げたかについて半構成的面接を実施した。インタビュー内容から逐語録を作成し、サブカテゴリ、カテゴリを抽出した。A病院の臨床研究審査会において「研究の種別:倫理指針対象外(人を対象とする医学系研究以外の研究)」として承認を得た(承認番号810)。【結果】54のサブカテゴリと6のカテゴリが抽出された。<患者に合ったタイミングでアプローチし自ら意図的に関わる><患者の表情に注意し治療経過を説明する><雰囲気を作り患者の気持ちの整理がつく頃に1人で訪室><患者の真相を引き出すために日常生活の会話から始める><患者が病気を受容できるよう最善方法を見出す><家族の支えが患者の原動力となるようカンファレンスで共有>であった。【考察】対象者は患者が想いを表出しやすい雰囲気作りをしつつ、日常生活の会話の中から患者の価値観を捉えていた。その価値観を踏まえて、患者の反応を注意深く観察しながら現状を説明することで患者は現実を受け止め、看護師と共に最善の方法を見出すことができると考える。小池らは「看護師が支持することで患者は、具体的・現実的に考える」1)とし、対象者はその足掛りを日常生活の会話に置いていることが明らかになった。そしてカンファレンスを行うことで、より多くの患者の想いを共有でき今後は看護師1人で抱え込まず、チームで患者の想いを支えていく必要性が示唆された。【結果】1.54のサブカテゴリから6のカテゴリが抽出。2.血液内科に勤務する看護師は、患者が話しやすい雰囲気を作り、日常生活を足掛りに対話をすることで患者の価値観や生きていく中で大切にしていることを捉えていた。3.本研究は対象者が1施設3名のためさらに多くのデータの収集が必要である。