[ポスター52-6] 看護師の集中治療症候群に対する認識調査
A病院救命センターのPICSに対する課題
[緒言] 近年、集中治療症候群(以下PICSとする)といったICU滞在中や退室後にも引き続き生じる障害が患者、家族に影響し生活の質が損なわれ問題となっている。日本集中治療学会PICS対策•生活の質改善検討委員会が日本集中治療医学会の会員を対象にPICSの認識をアンケート調査したところ6割程度の認識であった。PICS予防のケアはABCDEFバンドル(以下バンドルとする)が推奨されている。そのため、A病院救命センター看護師のPICSに対する認識の現状を調査した。[目的]A病院救命センター看護師のPICSに対する認識を調査しPICS予防に向けての課題を明らかにする。[方法]A病院救命センター看護師に対して独自に作成した無記名式自記式質問調査票を使用した。分析にはExcelを用い単純集計及びクロス集計を行い、認識の程度と予防のケアの認識、属性の関係を明らかにするためにスティール•デュワス検定により比較した。自由記載についてはアフターコーティングで分類しデータを抽出した。倫理的配慮については本研究への参加は自由参加であり参加しない場合でも不利益を受けないこと、参加後もいつでも撤回でき不利益を受けないことを説明した。また、個人情報は特定されないこと、厳重に保管することも説明した。[結果]回答のあった対象者は35人で、回収率は73%であった。うちPICSの認識がある割合は30人(86%)であった。その情報を持つ人にPICSの障害を自由記載で回答を求めた結果、3つの障害を記載した人は10人(33%)でPICSの概念を認識している割合は低かった。PICS予防のケアの認識ついてはバンドルのBの項目でのみPICSを「知らない」と答えた者と「知っている」と答えた者で有意差(p<0.05)が認められた。「知らない」と答えた者はB項目の実践介入ができているかについては、「あまり思わない」という回答であった。バンドル各項目の6段階のリッカートスケールを得点化した各項目の平均値が4.69〜3.94の範囲で全体的な認識は「どちらとも言えない」であった。予防のケアに対する自由記載はA項目でCPOTの回答者が4人、BPSの回答者が2人と少なかった。[考察]A病院救命センター看護師はPICSの認識はあるものの、概要については認識されていないことが考えられる。PICSの概念を認識することができれば、B項目のケアに対する認識や患者、家族の生活の質の向上につながることが示唆される。また、全体的に予防ケアの認識が「どちらとも言えない」という現状であり、バンドルのケアを共通認識していく必要がある。CPOT、BPSの回答者が少ないため自己申告できない患者の疼痛評価が適切にできていないことが考えられる。[結論]救命センター看護師がPICSと予防のケアを共通認識していくためのPICSチームを結成しチームが中心となって勉強会や啓発運動をしていく課題が明らかとなった。また、PADISガイドラインで推奨されている疼痛スケールの共通認識と定期的評価の導入を検討する。