第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター53群 業務改善に向けた取り組み③

Sun. Sep 29, 2024 9:00 AM - 10:00 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:久保 祐子

[ポスター53-1] 病棟看護師のチームワークと職務満足の関連

病床規模に着目して

佐々木 菜摘1, 矢野 亜紀子2, 荒木 章裕2, 福田 広美2 (1.大分大学医学部附属病院, 2.大分県立看護科学大学)

【緒言】看護師の定着化には、看護師が自らの仕事に満足し働くことができる環境の整備が重要である(井上ら2015)。職務満足につながる環境要因として看護師間のチームワークがある(佐藤ら2017)。病院機能分化により看護師の置かれる環境は病床規模で異なり、チームワークにも影響する可能性がある。病床規模に着目しチームワークと職務満足の関連の特徴を掴むことで、病棟の実態に沿ったより効果的な定着支援方策の示唆が得られる。【目的】チームワークと職務満足の関連について病床規模別の特徴を明らかにする。【方法】全国1,288 病院に勤務する役職のない常勤看護師計2,576 名を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した。基本属性、看護職版チームワーク測定尺度(三沢ら 2009)、病棟看護師の職務満足尺度(撫養ら 2014)を調査した。チームワーク、職務満足は病棟毎に突合しペアデータの平均値を得点とした。グループ①(病床数:20~99 床)、グループ②(100~199 床)、グループ③(200床以上)の平均点を一元分散分析で比較の後、Spearman の順位相関係数を求めた(p<0.05)。解析は IBM SPSS Statistics28 を用いた。本研究はA大学研究倫理安全委員会の承認を受け実施した(承認番号20-73)。対象者には、質問紙と同送した書面にて、個人が特定されないよう匿名化することと情報管理について、研究結果を学術集会で発表すること、質問紙の回答、返送をもって同意とすることを説明し、質問紙の回答、返送をもって同意を得た。【結果】444 名の回答(回収率17.2%)を得て病床数によりグループ①(n =59)、グループ②(n =73)、グループ③(n =47)に分類した。チームワーク下位尺度3項目の平均は3.5~3.6、職務満足の平均は82.8~89.8で、病床規模が大きいほど職務満足・チームワークが高い傾向にあった。相関については、全体ではr=0.496~0.561、チーム①でr=0.626~0.656、チーム②でr=0.412~0.536、チーム③でr=0.356~0.446であった(いずれもp<0.05)。チーム③の1項目を除く全ての項目でr=0.41~0.66のやや強い相関が見られた。【考察】看護師のチームワークは病床規模が大きいほど高い傾向にあった。組織化が進んだ大規模病院では、病棟毎に目標が明確に提示・共有され、看護師や看護管理者への教育が充実しており、三沢ら(2019)が示すチームワーク向上の3要素を充足していると考えられる。一方、中小規模病院では効果的な人員の配置転換等が難しく研修機会も少ないことなどからチームワークが醸成にされづらい状況があると推測される。中小規模病院の看護管理者は、多様なキャリアや価値観をもつスタッフの個性を生かしながら、中小規模病院特有の組織の柔軟性を活かした支援やスタッフ間の人間関係を良好に保てるような働きかけを行い、意識してチームワークを醸成していく必要がある。【結論】病棟看護師のチームワークは、病床規模により様相が異なることが示唆された。