第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター53群 業務改善に向けた取り組み③

Sun. Sep 29, 2024 9:00 AM - 10:00 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:久保 祐子

[ポスター53-2] 新規褥瘡発生率低下への取り組み

褥瘡予防への意識統一

小林 太一, 伊藤 麻美, 小野田 千愛, 清水 千佳子, 三原 ちなつ (帝京大学ちば総合医療センター)

【背景】A病棟は新規褥瘡発生率が高く、昨年度の新規褥瘡発生率は1.61%であった。大学病院での平均は0.8%とされ、それと比較しても高い結果となっている。主な原因としてスタッフ間での褥瘡発生予防に対する意識、対応に違いがあると感じ勉強会とカンファレンスでスタッフ間での情報共有、意識向上、対応統一を行うことで褥瘡発生率が下げられるのではないかと考えた。【目的】褥瘡発生予防に対する意識調査を行い、スタッフ間における褥瘡発生予防に対する対策を共有することで褥瘡の新規発生率を下げる。【実践内容・方法】202X年5月~10月にA病棟に入院している患者の褥瘡発生率の集計をおこなう。病棟スタッフに意識調査アンケート、褥瘡発生予防の勉強会、カンファレンス方法の立案と実施、新規褥瘡発生率の統計をおこなう。収集したデータは個人が特定できないよう匿名化する。研究データ及び結果は研究の目的以外で使用しない。【結果】前年度の半年間での新規褥瘡発生件数は9件、褥瘡発生率は1.64%、今研究期間での新規褥瘡発生件数は2件、新規褥瘡発生率は0.183%であった。アンケートでは、スタッフ間の褥瘡発生予防に対する意識に差があった。その要因に知識不足や褥瘡予防の対策が不明確であることが分かった。この結果から、皮膚・排泄ケア認定看護師による勉強会を開催した。また毎日褥瘡発生予防カンファレンスをおこない、褥瘡予防対策の結果をホワイトボードに一覧表示、患者ベッドサイドにも掲示することで対策を統一できるようにした。勉強会後に褥瘡予防について、体位変換の方法にスモールチェンジ、摩擦や除圧を意識した体位調整、移動、寝衣交換、シーツ交換をするようになったという意見が増えた。A病棟で褥瘡発生部位に対する意識が変化し、一般的な褥瘡好発発生部位だけでなく整形外科特有の褥瘡創傷発生部位にも視野が広がっていることが分かった。【考察】勉強会で学んだ対策方法を実践に活かせていることがアンケートからわかった。そのことから職種、経験年数関わらず意識の向上や対策の視点の拡大が図れたと考えられる。勉強会により患者の負担を最小限かつ有効な除圧ができたことにより褥瘡の発生を抑えられたと考えられる。今回導入したカンファレンスや掲示によるスタッフ間の知識と意識の統一、情報共有を行ったことは新規褥瘡発生率の低下につながったと考えられる。【実践への示唆】半年間の比較で褥瘡発生頻度が著しく減少した。勉強会での知識の獲得と、カンファレンス・掲示による情報共有は褥瘡発生予防に対する対策として有効であった。継続してA病棟に多い褥瘡予防に対する対策をとり、褥瘡処置が減ることにより患者の負担軽減、業務の効率化をはかり患者に対するケアの時間確保、充実化につなげていきたい。