第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

Presentation information

ポスター

ポスター53群 業務改善に向けた取り組み③

Sun. Sep 29, 2024 9:00 AM - 10:00 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:久保 祐子

[ポスター53-3] 病棟外来一元化のやりがいと専門職的自律性

A大学病院病棟外来一元化看護師の調査から

大野 道子, 清武 由佳里, 廣田 千春, 手島 佳代子, 小田 美佳, 谷口 法子 (福岡大学病院)

【緒言】病棟外来一元化看護師のやりがいを獲得する過程は明らかとなっているが、やりがいと専門職的自律性の特徴を明らかにした研究はない。本研究は、やりがいや専門職的自律性を明らかにし、教育的支援や看護体制の示唆を得ることを目的とする。【目的】A大学病院病棟外来一元化勤務の看護師を対象にやりがいと専門職的自律性の特徴について明らかにする。 【方法】1.調査期間:202X年8月1日~202X年9月9日。2.研究対象:A大学病院病棟外来一元化勤務の看護師196名。3.データ収集方法:1)調査方法:無記名自記式質問紙調査。2)調査内容:(1)基本的属性:看護師経験年数、外来勤務日数、勤務の連続性の有無、外来リーダー経験の有無。(2)やりがい:A大学病院職員満足度調査のやりがい5項目(仕事を通じて達成感を得る機会がある、私は職場で必要とされている、私の仕事ぶりは適切に評価されている、達成したい具体的目標を持っている、自分の仕事に満足している)を5段階で評価した。(3)専門職的自律性:菊池らの「看護婦の自律性測定尺度」を用いた。4.データ分析方法:基本属性、やりがい得点、専門職的自律性尺度について記述統計を実施した。分析にはIBM SPSS Ver.29を使用した。5.倫理的配慮:A大学病院看護部倫理審査委員会の承認を得て実施した(R4B-1)。 【結果】1.基本的属性:平均経験年数は12.0年であり、10~19年目の看護師経験の割合が44.1%と多く、77.9%がリーダー経験のある看護師であった。2.外来での仕事のやりがい:5項目全てにおいて7割以上の看護師がやりがいを感じているという結果となった。特に、経験年数が10年目未満のやりがいが高く、〔仕事を通じて達成感を得る機会がある〕という項目は「かなりそう思う」15.8%、「少しはそう思う」65.5%と5項目中で一番高い結果となった。一方で〔自分の仕事に満足している〕という項目では、「全くそう思わない」の回答が5.5%と最も多かった。3.専門職的自律性:尺度総得点は、328.75±35.15(平均値±SD)であった。また、クローンバックのα係数は、尺度全体、下位尺度全てにおいて0.873以上であり、十分な内的整合性が確認された。 【考察】1.やりがい:〔仕事を通じて達成感を得る機会がある〕が高い背景には、協働し、業務を遂行することで達成感が得られる環境があると推察された。また、〔自分の仕事に満足している〕において「全くそう思わない」の回答も多かったことから今後、病棟業務の中で外来業務を行う困難感や勤務形態、診療科による差異について確認が必要であることが示唆された。2.専門職的自律性:〔自立的判断能力〕を除いて全ての下位尺度項目において菊池や横井らの先行研究と比較し高い得点を示した。【結論】本研究対象者の特徴は、仕事を通じて達成感を得る機会が十分にあり、高いやりがいや専門職的自律性を持って勤務していることが明らかとなった。