第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター54群 看護管理者等の実践・能力

Sun. Sep 29, 2024 9:00 AM - 10:00 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:石川 紀子

[ポスター54-1] 「PM理論」を活用して職場の活性化を目指す

田中 ひとみ1, 堀込 克代2 (1.順天堂大学医学部附属順天堂医院, 2.順天堂大学医学部附属静岡病院)

【背景】看護管理者のリーダーシップ行動は職場の活性化、看護職員満足度に大きな影響を与える。しかし看護管理者は部下を評価することはあっても他者(部下)評価を受ける機会は少なく、自身のリーダーシップ行動の発揮の仕方、方法に不安を持っている。【目的】看護管理者が他者(部下)評価を受けることにより自身ののリーダーシップ行動の課題を把握し、職場活性化のための具体的改善策を検討して実践することにより、看護職員満足度の向上につなげる。【実践内容・方法】A病院ではPM理論(リーダーシップ行動を「P:目標達成機能Performance」と「M:集団維持機能Maintenance」に着目した行動理論)を用い、202X年、各部署において看護管理者の自己・他者(部下)評価を実施した。PM理論診断テスト(各10項目を0~5点で採点)を使用して調査。質問用紙は無記名とし個人が特定できないよう配慮、回答をもって同意とした。看護部長との目標管理面接時に返却することを伝え、職場の目標達成及び集団維持促進のための具体的改善策を両者で検討し共有した。実践の成果確認のため202Y年にも同様に調査し、看護職員満足度の指標として離職率を比較した。【結果】PM10項目の各平均点は、P目標達成機能及びM集団維持機能の自己・他者評価はいずれも上昇した。全40項目の内30項目は得点が上昇、下降した項目は3項目のみであった。P目標達成機能の自己評価「仕事の量や質を厳しく言う」が0.5点と顕著に上昇したが、同じ項目の他者評価は0.1点下降した。退職率は11.8%から7.4%に減少した。【考察】PM理論を用いた調査結果において40項目中30項目の得点が上昇したのは、目標管理面接において看護部長と看護管理者がリーダーシップ行動の課題を明確にし、職場活性化のための具体的改善活動を検討して実際に取り組んだ成果であると考えられる。中でもP目標達成機能の自己評価「仕事の量や質を厳しく言う」が0.5点も上昇したことは、目標達成を促進するリーダーシップ行動を発揮しようと努力したことが伺える。しかし同じ項目の他者評価が0.1点下降していることから、行動の仕方、活動内容に課題が残っていることも推察される。今回、看護管理者の看護職員への働きかけが、どのような形でどの程度伝わっているのかが明確となり、また看護部長と情報を共有して両者で検討できたことで、改善活動のフィードバックがより具体的にでき、職員満足度向上の指標とした離職率低下につながったと考えられる。また看護管理者自ら他者評価を受け、明らかとなった課題に対する改善活動を遂行していく姿を示すことは、看護職員に良い刺激を与えたと考えられる。【実践への示唆】PM理論を活用することで看護部長との目標管理面接において情報共有でき、職場活性化のための具体的改善活動、及び実践のフィードバックがより具体的にできたことで、看護職員満足度向上につながった。