[ポスター54-6] 看護師長の経験に影響を及ぼす承認行為
【緒言】「看護師長の経験」が「看護師長の成長」に関連があることを、先行研究において報告した。本研究では、看護師長の経験に看護部長から受ける承認行為がどのように関連しているのかを明らかにしたので報告する。【目的】看護師長の経験に影響を及ぼす承認行為を明らかにする。【方法】全国の急性期機能を持つ100床以上399床以下病院の看護師長918名を対象に、自記式質問紙を用いた量的研究を行った。データ収集内容は、基本属性8項目、経験40項目、承認行為15項目とした。分析方法は、統計ソフトを用いて因子分析と共分散構造分析を行った。【倫理的配慮】A大学医学部倫理委員会の承認(登録番号:2022-085)を得て取り組んだ。【結果】今回の調査で「看護師長の経験」は、40項目中平均4.0以上が8項目あり、看護師長不在時の管理代行役割を担った経験や新人の指導係を担当した経験などがあった。看護師長の上司である「看護部長から受ける承認行為」について、平均の高い項目はいつでもサポートできる体制が見られた。因子分析において、「看護師長の経験」は5因子が抽出され、「看護部長から受ける承認行為」は1因子の構造であった。共分散構造分析では、「看護部長から受ける承認行為」は9項目に絞られ、「言葉でフィードバック」「看護師長の仕事ぶりを認め周囲に伝える」「専門職者としての目標について支持・支援」「できなかったことができたと実感したときに評価」「創意工夫を認めさらに発展させる機会」「心身の体調に気遣ってくれる」「業務中の様子にアドバイス」「部署のスタッフとコミュニケーションをとる」「何事も無視しないで、必ず返事」で、パス係数0.71~0.84の大きさでつながりがあった。「看護部長から受ける承認行為」は「看護師長の経験」にパス係数0.69の大きさで影響をし、『管理者として大事に育てられた経験』がパス係数0.93と最も大きく影響していた。【考察】昨今の感染管理をはじめ、様々な場面で看護職を取りまとめる看護師長の役割は重要であり、その中で看護師長自身の経験も積み重ねられていると考えている。看護師長が「看護部長の承認行為」を受けることで、看護師長自身が大事に育てられていると思うことや現場教育に力を注ぐなど、日々の「看護師長の経験」に影響を及ぼしていると考えられるが、実際には項目の平均が低く、実感が乏しかった。看護師長が実感できるように「看護部長から受ける承認行為」が行われることで、看護師長としての自信となり、現場での人材育成や業務改善へと意欲的に取り組む原動力となると言える。【結論】「看護師長の経験」に影響を及ぼす「看護部長から受ける承認行為」は、9つに絞られ、その9つのスキルをもって「看護師長の経験」を効果的に支援することが看護師長の育成につながると言える。(1176文字)