第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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ポスター

ポスター54群 看護管理者等の実践・能力

Sun. Sep 29, 2024 9:00 AM - 10:00 AM ポスター会場 (展示ホール)

座長:石川 紀子

[ポスター54-5] A病院の将来像を見据えた組織改変を実践して

認定看護管理者の実践と成果及び課題

松田 早苗 (安芸市民病院)

【背景】A病院は市東部に位置する一般急性期病床、医療療養病床、地域包括ケア病床、緩和ケア病床を有する140床の公設民営病院である。圏域地域医療構想調整会議を経て、小規模病院の強みを活かした地域完結型病院を目指している。201X年に認定看護管理者研修サードレベルを修了し認定看護管理者(以下CNA)として組織改変に向けた活動を行っている。統合演習では、A病院の将来像を見据えた地域連携強化、在宅支援体制の構築、専門性の高い看護師の地域活動体制の構築を事業計画とした。実践の経過と成果並びに課題について報告する。【目的】認定看護管理者サードレベル研修の統合演習がどのように活動実践につながり成果が得られているかを明らかにし、今後のCNAとしての示唆を得る。【実践内容・方法】看護の分野からも選ばれる地域完結型病院の構築を目標とし、在宅支援部門の新設と従来の地域連携室を統合し名称の変更と組織図の改変を行った。人員配置においてはCNAを部長職として配置し在宅支援部門と地域連携部門にはそれぞれの関連職種と管理職を配置した。在宅支援部門については近隣の関連施設の理解と協力を得ながら在宅医療を試行し、1年の準備期間を経て翌年より本格始動した。専門性の高い看護師の地域活動については、専従配置した認定看護師が主となり、院内に分散配置している認定・特定看護師の自律的活動の推進を図った。成果指標として診療報酬に係る収入及び効果を可視化した。【結果】在宅支援部門の設置と在宅医療の実績により、新部門開設2年後には24時間の往診体制を構築するとともに在宅療養支援病院としての施設基準を取得することができた。今後は外来診療に在宅医療の診療枠が新設される予定である。地域連携業務の見直しと業務量の可視化、質の向上が地域包括ケアシステムの構築に不可欠な新たな施設基準の取得につながり診療報酬改定による減収の影響を受けない体制を構築することができた。診療圏における地域連携室ネットワーク会議の設立・運営や地区医師会事業における共有クラウドを用いた病診連携の利活用が専門性の高い看護師の地域活動体制構築や地域BCPへの応用につながった。看護協会等のサポートも積極的に受け、解決につなげている。収入及び効果については事業計画通りの結果が得られ病院経営にも貢献することができた。【考察】CNAは研修で習得した知識・技術・態度により社会が求めるヘルスケアサービスの提供と経営管理能力を実践する役割がある。統合演習での学びは具体的行動につながり成果を得ることができた。今後も地域の現状や2040年に向けての課題解決において重要な立ち位置であることを踏まえた活動を継続していく必要がある。【実践への示唆】活動を限定的にせず幅広い視野で実践していく。このことが、政策提言につながるよう看護協会へもアピールしていく必要がある。