[ポスター57-6] ジェネレーター交換の拒否を撤回した患者への意思決定支援の一例
【背景】心臓術後、完全房室ブロックとなり、心外膜リードを用いた両心室ペースメーカー(CRT-P)を腹部に植込みを実施。術後3ヵ月の外来受診時にジェネレーター交換はしたくないと意思表示あり。医師よりリスクについて説明するが交換を希望しない意向を示した。その後、ジェネレーター交換の意思がない旨を知った看護師が面談を実施し、患者の思いを傾聴した。今後の対応の検討が必要と判断し、医師へ相談した。【目的】ジェネレーター交換を拒否した患者支援を振り返り、術前から術後においてのどのような患者支援が有用であったか検討する。【実践内容・方法】30歳代、女性。ジェネレーター交換をしたくないと意思表示があった患者・家族等との面談、小児心臓内科、精神科医等との連携、かつA病院で医の倫理員会で検討を実施。また、手術前は、実物と同等のCRT-Pを用意し、植え込み部位に関して本人を交えて検討を実施した事例研究。A病院の看護研究倫理審査の承認を得た 。個人を特定できないように配慮し実施した。【結果】本人と面談した結果、腹部に植込みしたCRT-Pの影響で、趣味嗜好に影響が出ていることが判明した。また、CRT-P植込みに関する説明後から植込むまでの期間は3日間であり、受け入れられないまま手術となってしまったと発言が聞かれた。それらを、小児科医、精神科医と情報を共有した。小児科医が面談を実施し、ジェネレーター交換をしなかった場合のリスクなどを説明するも意思は変わらず、精神科のコンサルトも本人へ提案したが希望されなかった。その後も複数回の面談を実施、趣味嗜好が継続できる方法を提案、創部の位置に関して本人の意向を確認しながら検討。また、CRT-Pがなぜ必要になったか理解できないと前にすすめないと言う発言も聞かれたため、本人・家族・小児科医・看護師を踏まえた面談を実施し、これまでの経過、CRT-Pの必要性を再度説明し、本人の疑問や懸念している点を聞き、面談と支援を繰り返すことで、ジェネレーター交換に至れた。【考察】植込み後の趣味嗜好の制限やCRT-Pを植込むことへの需要ができていなかった結果、ジェネレーター交換を希望しなかったことが患者の発言から判明した。CRT-P植込みをするということは、人工物を半永久的に装着することとなり,患者のその後の人生になんらかの影響を与えることは必至であり、これらの問題をどのように解決し、また指導していくかも医療者の責任であるとガイドラインにも記載されていることから、術前からの患者の支援が重要であると考える。また、患者の理解度と手術の満足度は相関すると報告があることから、CRT-Pの必要性が理解できていなかったことも要因の一つと考えら、医師から経過説明を実施したことは有用であったと考える。【実践への示唆】デバイスを植え込むことは手術後の生活になんらかの影響を与えるため、術前からの意思決定支援が重要であることが示唆された。